橋本淳、若手屈指の名バイプレイヤーに 名だたる演出家たちから信頼される演技力
ドラマでは名バイプレイヤーとして欠かせない存在となっている橋本。その演技は「憑依している」という大仰なものではなく、「その人としてそこに立っている」というごく自然体なものであり、もはや気づかないほど作中世界に馴染みきっている。
だが、出演作は枚挙にいとまがなく、今期は3本のドラマに出演。その一本が、前述した『クラ好き』だ。橋本が演じる杉浦くんは自分を解放し、女性の姿で脛男の前に現れる。相当に研究を重ねたのだろう。容姿はもちろんのこと、立ち振る舞いや身のこなしが全て美しく思わず惚れ惚れしてしまった。そして、杉浦くんは自分をダメ人間だと卑下する脛男を「ダメなやつだからこそ、ダメな人の気持ちがわかる」「自分はダメなんじゃないかって悩んでいる人にこそ、枝松くんの文章は届くんじゃないかな」と肯定する。その慈愛に満ちた微笑みが、脛男と再会するまでの山あり谷ありの道のりを思わせた。『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)では、主人公たちが通う高校の担任教師を演じており、杉浦くんを演じている時とは対照的に、軽い調子の台詞回しや締まりのない笑顔が頼りなさを醸し出している。
来年は『軍師官兵衛』以来、11年ぶりに大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)に出演する橋本。本作では、横浜流星主演で“江戸のメディア王”として時代の寵児となった蔦屋重三郎の生涯が描かれる。橋本が演じるのは、蔦重を商売初期から支える人気絵師の北尾重政だ。美人画や役者絵が有名だが、他にも風景画や武者絵、風刺画など幅広いジャンルの浮世絵を手がけた柔軟性の高さは、橋本の役者としての姿勢にも通ずる。どんな役でも細部にリアリティを忍ばせる橋本の筆づかいにも注目したい。
■放送情報
火ドラ★イレブン『あの子の子ども』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜23:00〜23:30放送
出演:桜田ひより、細田佳央太、茅島みずき、河野純喜(JO1)、野村康太、前田旺志郎、橋本淳、野間口徹、美村里江、石田ひかり
原作:蒼井まもる『あの子の子ども』(講談社「別冊フレンドKC」刊)
脚本:蛭田直美
音楽:haruka nakamura
主題歌:THE BEAT GARDEN 「わたし」(UNIVERSAL SIGMA)
監督:アベラヒデノブ、山浦未陽、松浦健志
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、伊藤茜(メディアプルポ)
制作協力:メディアプルポ
制作著作:カンテレ
©蒼井まもる/講談社/カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/anokonokodomo/