『夫の家庭を壊すまで』にマッチするSARMのED曲 松本まりかの復讐劇から目が離せない

『カテコワ』にマッチし過ぎなSARMのED曲

 『夫の家庭を壊すまで』(テレ東系)で松本まりか演じる“サレ妻”の復讐劇から目が離せない。数あるリベンジ系不倫ドラマの中でも、本作では人間の果てなき欲望と狂気がまざまざと描かれ、視聴者からは「もはやホラー」という声が上がっている。

 その恐怖をさらに高めているのは、SARMが歌うエンディングテーマ「高級フレンチよりあなたとつくる深夜のフレンチトーストがすき。」だ。ドラマの世界観と見事にマッチした内容であり、流れるタイミングも秀逸だと話題を集めている。

『夫の家庭を壊すまで』× SARM「高級フレンチよりあなたとつくる深夜のフレンチトーストがすき。」スペシャル映像

 主人公の如月みのり(松本まりか)は、学生時代に出会った勇大(竹財輝之助)と10年以上の純愛を実らせ結婚。子宝にも恵まれ、自身が複雑な家庭環境で育ったゆえに長年の夢であった幸せな家族との暮らしをようやく手に入れた。だが、勇大は学生の頃から好きだった理子(野波麻帆)とその息子・渉(野村康太)と別の家庭を築いており、みのりはずっと裏切られていたことを知る。

 毎回、ラストで衝撃の事実が明かされる本作。そのタイミングで流れ出すエンディングテーマは、信じていた世界が一瞬にして崩れ去ったみのりの心情とリンクする。作詞・作曲も手がけたSARMは、ジャズ、ブルース、ソウルなどのルーツ・ミュージックに最新の音楽を融合させたスタイルで注目されるシンガーソングライター。

 スモーキーで魅惑的な歌声、全身を使ったパワフルなライブパフォーマンスも魅力だが、もう一点特筆すべきはそのユニークな言語感覚だ。歴史や文化・芸術からもインスピレーションを受けた彼女の歌詞は唯一無二の世界観を作り出す。

 「高級フレンチよりあなたとつくる深夜のフレンチトーストがすき。」も物語性に溢れており、“地球最後の日”がテーマ。〈ガリレオ ガリレ / ガリレオ ガリレ / ガリレオ ガリレ イ〉という歌い出しが印象的だが、「他人からいくら否定されようとも自分の信じたことを貫き通す」ことの象徴としてガリレオ・ガリレイを歌詞に登場させたそうだ。その後も、地球最後の日に平凡で愛おしい暮らしが〈パーリンパリン〉と音を立てるように崩れ去っていっても、〈それでも 愛は続く〉と信じる気持ちが歌われている。

 かたや、みのりは勇大の裏切りを知って愛情が一気に憎しみへと変わり、「絶対に許さない」と復讐を誓う。そのことと歌詞の内容は一見相反するように感じられるが、みのりの中にも「あの幸せは本物だった」と信じたい気持ちは少なからず残っているのだ。

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