『笑うマトリョーシカ』高岡早紀が作り出す“間”の意味深さ 衝撃だらけの第9話を整理する
テレビドラマに限らず、あらゆるエンタメに通じることだが、大抵の場合、黒幕の背後にはより大きな影が潜んでいるもの。政界にうごめく闇ととある家族の秘密が絡み合う中、この物語の「ラスボス」に関する新たな疑問が浮上したTBS金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』第9話。
浩子(高岡早紀)の母で、清家(櫻井翔)を政界へ導いた祖母が「劉英華(リュウインファ)」という中国人女性だったと知り、道上(水川あさみ)たちは衝撃を受ける。さらに英華は生前、「復讐」を意味する中国語をよく口にしていたという。道上の頭に様々な推測が渦巻く中、清家は政界に新たな波紋を投じる。
清家は、国民の直接投票によって総理大臣を選出する「首相公選制」の導入を提案したのだ。国民的人気を誇る清家にとって、この提案は自身が総理大臣の座に就くための巧妙な布石とも受け取れる。道上はこの動きの背後で、清家を操る浩子の存在を改めて強く意識せざるを得なかった。
一方、元秘書・鈴木(玉山鉄二)の粘り強い調査により、新たな事実が明らかになる。諸橋外務大臣(矢島健一)の元秘書で、突如姿を消していた富樫(吉岡睦雄)が、今や裏社会で暗躍しているという情報をつかんだのだ。道上は、浩子と諸橋が水面下でつながり、BG株事件の隠蔽工作に関与しているのではないかと推測。富樫から話を聞き出せれば、浩子の真相に迫る重要な糸口になると確信する。
その線で動き出した道上は、鈴木、山中(丸山智己)と共に、富樫が頻繁に訪れるというバーで張り込みを開始。しかし、あと一歩のところで富樫を取り逃がしてしまい、3人は歯がゆい思いを抱えながら、次の一手を模索することになった。
後日、山中から衝撃的な連絡が入る。「冨樫が見つかった。ただし、死体でだ」。そして道上の父の死も、実は冨樫の指示によるものだった。冨樫に指示を出していたのは、他ならぬ諸橋大臣。事態は予想以上に複雑で、権力の中枢にまで及んでいることが明らかになる。
この展開を受けて、道上は再び浩子と対峙することに。これまで周囲の人々の視点を通して描かれてきた浩子の姿が、第8話で初めて彼女自身の言葉で語られることとなった。道上との対話を通じて、浩子の複雑な育ちと、これまで秘められてきた本心が徐々に明らかになっていく。