『量産型リコ3』はホームドラマの傑作 与田祐希が“量産型”のヒロインだからこその新しさ

『量産型リコ3』はホームドラマの傑作

 話題作がひしめき合う2024年の夏クールドラマだが、個人的にもっとも楽しんでいるのが、乃木坂46の与田祐希が主演を務める『量産型リコ -最後のプラモ女子の人生組み立て記-』だ。

 テレビ東京の「木ドラ24」で放送されている本作は、派遣社員のリコこと小向璃子(与田祐希)が、祖父の死をきっかけに実家に帰省する場面から始まる。

 祖父の遺品となった作りかけのプラモデル「ガンダム・バルバトス」を完成させるため、彼が通っていた矢島模型店へとリコは向う。そこでプラモを完成させたことがきっかけでリコはプラモ作りの魅力を知るのだが、同時に、生前は気づかなかった祖父の意外な顔を知ることになる。

 『量産型リコ』はリコがプラモ作りという趣味を通して変わっていく姿を描いた深夜ドラマで、企画・原案・脚本は畑中翔太が担当している。

 今回でシーズン3となる人気シリーズだが、主演の与田と出演俳優は一部重なっているものの物語上のつながりはなく、それぞれ違う世界のリコの物語を描いたパラレルワールドとなっている。

 シーズン1となる『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』の舞台はイベント企画会社で、リコは現状維持がモットーの会社員。シーズン2となる『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』の舞台は、スタートアップ企業支援プロジェクトが舞台で、リコは大学時代からの仲間といっしょに立ち上げたスタートアップ企業の社長だった。

 そして今回のシーズン3は、会社が舞台だった前2作とは違い、実家を舞台にしたホームドラマとなっている。

 全シリーズに共通する魅力は、リコがプラモデルを作る場面を美麗な映像で撮っていること。

 毎回リコは、矢島模型店でプラモデルの箱を開けて、プラモのパーツをニッパーで切って、組み立てていく。ニッパーでパーツを切り取る時に、パキパキっとリズミカルにカットを割っていく映像が実に心地良い。

 そしてプラモと同じくらい、プラモ作りに没頭するリコの撮り方も美麗に撮っており、与田祐希のPVとしても楽しめる。

 つまり本作は、アイドルがプラモデルを作る姿を美麗に撮った深夜ドラマなのだが、毎話登場するプラモデルと登場人物の物語や悩みがリンクしているのがドラマとしての奥深さに繋がっている。

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