与田祐希、『量産型リコ』で見せる天性の愛らしさ 地上波連ドラ初主演に至るまで

与田祐希、『量産型リコ』で見せる愛らしさ

 2022年後期の朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)に山下美月の出演が決定し、久保史緒里も11月に公開される『左様なら今晩は』で映画初主演に抜擢されるなど、乃木坂46の主力を担う3期生が俳優として羽ばたいている。

 その中でも、現在放送中のドラマ『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』(テレビ東京系)で主演を務めている与田祐希もまた、俳優としてのキャリアをしっかりと積み上げてきた一人だ。

 2018年放送のドラマ『モブサイコ100』(テレビ東京系)で初のドラマ出演を果たした与田。彼女に与えられた役はというと、モブこと影山茂夫(濱田龍臣)の幼なじみで学校のマドンナ的存在の高嶺ツボミ。物語の鍵を握る印象的な役ではないものの、あどけない与田のイメージが「学校のアイドル」という役柄にとてもよくハマっていた。

 その後も『ザンビ』(日本テレビ)や『乃木坂シネマズ〜STORY of 46〜』(FOD)内の「嗚呼!素晴らしきチビ色の人生」といった乃木坂46関連の作品に出演を重ね、『ザンビ』の第7話で見せた迫真の演技は与田の成長を強く感じさせるものだった。

 着実に俳優としての演技力に磨きをかけてきた与田は、2020年に公開された映画『ぐらんぶる』に出演。乃木坂46の「心のモノローグ」のMV監督や、映画『あさひなぐ』の監督も務めた英勉監督がメガホンを取り、実写化不可能と言われた作品に挑んだ意欲作だ。

与田祐希が語る、初の映画出演作『ぐらんぶる』での経験 「イメージを壊せることがうれしかった」

竜星涼と犬飼貴丈がW主演を務めた映画『ぐらんぶる』が8月7日より公開される。本作は、キラキラな大学生活を送るつもりで国内でも珍し…

 与田が演じたのは“クーデレ美少女”としてダイビングサークルの男たちを翻弄する古手川千紗。金属バットを思いのまま振り回したり、男たちを足で踏みつけたり、はたまたアイドルらしからぬ白目をむいたりと、これまでの与田のイメージを大きく覆すヒロイン像を見事に好演してみせた。これまではアイドルとしてのイメージに即した等身大の役柄が多かっただけに破天荒な役柄は新鮮に映ったが、高い原作再現度の演技は原作ファンをも唸らせた。世間的にも与田の演技力に注目が集まったのはこの頃だったように思う。

 俳優として飛躍を遂げた作品として挙げられるのは、やはり2021年に放送された『日本沈没ー希望のひとー』(TBS系)と『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』(Paravi)だろう。日曜劇場という枠へのレギュラー出演は乃木坂46の中で初の出来事であり、それだけでも与田に対する期待の大きさがわかる。

 与田演じる山田愛は居酒屋の看板娘として、天海啓示(小栗旬)や常盤紘一(松山ケンイチ)、椎名実梨(杏)らとの微笑ましい掛け合いのシーンもあり、シリアスな作品の中でも癒やしを与えてくれる存在だった。その佇まいはアイドル・与田祐希そのもの。

 一方で、スピンオフドラマ『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』では蒔田奇跡(板垣瑞生)との恋愛模様が描かれつつも、未曾有の危機の中で必死に生きようともがく生々しい人間の生き様をも表現していた。与田は「監督やプロデューサー、共演者の方々にもアドバイスをいただいて、『“役に入る”ってこういうことなのか』ということが初めてわかって、すごく充実感があったんです」と同作を振り返っており、与田にとってもターニングポイントとなったようだ(※)。

 『量産型リコ』で地上波連続ドラマ初主演を果たした与田。本作は会社の同僚から「量産型」と言われたのをきっかけに、与田演じる小向璃子がプラモデルと出会い、心身ともに成長していく物語だ。第1話では会社帰りにふと寄ったホビーショップで、量産型ザクと出会い、プラモデルを組み立てる魅力に気づく模様が描かれる。第2話ではモデルカー、第3話ではエヴァンゲリオンの初号機が登場するなど、懐かしいプラモデルの登場がSNSで話題となっている。

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