『海のはじまり』古川琴音、水季の脆さを涙で見事に表現 “母性愛"に一石を投じた回に

『海のはじまり』水季の“本音”が明らかに

 子育てを手伝うことを申し出た津野と、徐々に関係が深くなっていく水季。津野のように助けてくれる人が周囲にいてよかったと思う反面、そうして心の中に入り込んでしまった水季を失った津野の悲しみは計り知れない。第7話を観たあとだと、前回のエピソードで「水季の病気について知りたい」と申し出た夏に、彼がきつく当たっていたのも納得がいく。津野の反応は、苦しむ水季との辛い記憶、そして彼女が命をかけて大切にしていた、かけがえのない海との日々があったからこその行動だったのだろう。

 しかし、ある意味では誰よりも水季の近くにいた津野に、朱音(大竹しのぶ)は「(水季のものに)触らないで、家族でやるので大丈夫です」と言葉をかける。そして“家族じゃないから”かけられた「触らないで」という言葉を、第1話の葬儀の日、津野は夏にかけたのだった。

 パズルのピースがハマっていくかのように、水季を巡る周りの人たちの様子も明らかになった第7話。水季という一人の人間の死が周囲に与えた影響の大きさが、本当の意味で徐々に浮き彫りになってきたのではないか。

 何より、それまで強がって頼らなかった水季が、初めて「死ぬのが怖い」と泣く姿は、観る者の心を揺さぶったはずだ。古川琴音の瞳からとめどなく流れる涙が、これまで家族を頼れなかった水季の脆さを見事に表現している。そして、それを抱き締めて一緒に泣く大竹しのぶの演技も圧巻だ。朱音は、本当はもっと水季に頼られたかったのではないだろうか。家族ではない他人である津野に頼る水季を見て、自分を責めることもあったのかもしれない。二人の演技の絶妙な掛け合いに、多くの視聴者が涙を誘われたことだろう。

 水季の“本音”を描いた第7話を経て、これまで夏と共に想像するしかなかった彼女の気持ちが、より鮮明に伝わってきた。水季の深い想いを知った今、残された人々の歩みはどのように変化していくのだろうか。特に、夏と弥生、そして津野という大人たちの関係性の行方が気になる。彼らは水季の想いをどう受け止め、どのように前を向いていくのか。第8話への期待と、水季との別れが残した切ない余韻が、視聴者の心を確かに捉えている。

■放送情報
『海のはじまり』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:目黒蓮、有村架純、泉谷星奈、木戸大聖、古川琴音、池松壮亮、大竹しのぶほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹、髙野舞、ジョン・ウンヒ
主題歌:back number「新しい恋人達に」(ユニバーサル シグマ)
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/uminohajimari/
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