仲村トオル、演じることは「ゴールのない旅」 『密告うたう2』能馬役で大切にした“重さ”

仲村トオル、演技の感覚は“ゴールのない旅”

松岡昌宏は「稀に見るマルチタスク能力の持ち主」

ーー主演を務められた松岡昌宏さんと現場を共にして、どんな印象をお持ちになりましたか?

仲村:稀に見る有能な座長ですね。彼は、いろんな人のモノマネがうまいんですよ。それは人間観察力の高さだと僕は思っていて。彼はいろんなところに目が届くんですよね。

ーーイメージ通りの方なんですね。

仲村:今回の現場でも、咳をしたり鼻をすすったりして体調が悪そうなスタッフがいたんですが、そうすると録音部はノイズが気になるわけです。そこで松岡くんが「カチンコ誰かに変わってもらいな。(現場から)離れてていいよ」と声をかける。こういう気遣いができる人がいると、スムーズに進むよな」と思うし、それがスタッフではなく、主役の彼だったという。稀に見るマルチタスク能力の持ち主というか、いろんな方面に目が届いている人だと思います。

『空飛ぶタイヤ』で感じた、自分と役がシンクロしていく“感覚”

ーー仲村さんはこれまでも多くのWOWOW作品に出演されていますが、WOWOWドラマに関してどんな印象を持たれていますか?

仲村:今もそうですが、振り返っても初期のころからドラマW(単発ドラマ/2003年スタート)は、チャレンジ精神がすごくありましたね。僕自身がWOWOWに入ったのは、(ボクサーの)マイク・タイソンの試合が見たかったからなんですけど(笑)。スポーツ番組も豊富で、レンタルビデオ店に行かなくても多くの名作が観られるところに魅力を感じていました。そんな時代に「ドラマW」シリーズが立ち上がって、その心意気も含めて「この船に乗りたいな」と思ったのを覚えています。今でこそ、各配信サイトでオリジナル作品が作られていますが、その先駆けであり開拓者であり、クオリティーの高い作品を数多く作ってきたのがWOWOW。思い入れもあるし好きですね。

ーー仲村さんは、連続ドラマW(2008年スタート)枠としては、初出演・初主演を務めた『空飛ぶタイヤ』(2009年)をはじめ、数多くの作品にご出演されています。連続ドラマWで記憶に残っている作品はありますか?

仲村:内片監督との『孤高のメス』(2019年)、若松節朗監督とご一緒した『トッカイ〜不良債権特別回収部〜』(2021年)などたくさん印象に残っていますが、『空飛ぶタイヤ』は、まだ「連続ドラマW」という枠になって3作目の作品なんです。主人公の小さな運送屋の社長・赤松徳郎(仲村トオル)が、大きな自動車会社に立ち向かっていく物語ですが、「ここから(連続ドラマWが)立ち上がっていくんだ」という気概が現場にも満ちていて……。あのとき現場にいた自分と、演じた役がシンクロしていたような気もして、とても印象に残っています。

ーー仲村さんは俳優として長らくご活躍されていますが、演技のおもしろさや魅力は、ドラマ・映画を経ていくたびに実感するものなのでしょうか?

仲村:たとえば、20代のころは「掴んだ」と思う瞬間があっても、違う役をやって手を開いたら「あれ、何も掴んでない」と気づく……という状態の繰り返しだったような気がします。今は「掴むことなんて永遠にないんだろうな」と思いながらやっていますね(笑)。僕は野球が好きなので、よく野球に例えるんですけど、相手のピッチャーがどんなボールを投げてくるのか分からないし、その日の体調やゲームの状況によっても変わってくるし、そもそも完成されたバッティングフォームなんてない。いつまでも完成しないままなんだろうな、と思いますね。

ーーそこが演技のおもしろさや楽しさにつながっていくんですかね。

仲村:そうかもしれないです。ゴールのない旅を続けている……そんな気がします。

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■放送情報
『連続ドラマW 密告はうたう2 警視庁監察ファイル』(全8話)
WOWOWにて、8月11日(日)スタート 毎週日曜22:00~放送・配信
※第1話無料放送あり
出演:松岡昌宏、泉里香、池田鉄洋、浜中文一、マキタスポーツ、戸塚祥太、宇野祥平、宮崎秋人、猪塚健太、水澤紳吾、谷田歩、飯田基祐、山本未來、眞島秀和、渡辺いっけい、仲村トオル
原作:伊兼源太郎『ブラックリスト 警視庁監察ファイル』『残響 警視庁監察ファイル』(実業之日本社刊)
監督:内片輝、山本大輔
脚本:鈴木謙一
音楽:大間々昂
プロデューサー:井口正俊、下田淳行、星野秀樹
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作著作:WOWOW
公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/mikkoku2/

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<応募締切>
8月26日(月)

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