中村悠一、緩急を生む“声芝居の妙” 『逃げ上手の若君』諏訪頼重は早くもハマり役に

中村悠一、『逃げ上手の若君』はハマり役に

 アニメが放送される前の段階ではギャグの流れの中で、頼重のシリアスな一面が浮いてしまう可能性を心配していたが、中村はコミカルな場面ではとことん振り切り、シリアスな場面では頼重の内面や人柄をじっくりと描き出し、キャラクターの輪郭を描き出す。中村は現人神として崇拝される対象としての頼重と、人間臭い頼重を上手に演じ分けていた。

 第四回では、鎌倉奪還のため稽古に勤しむ時行と頼重の前に、新たに信濃守護に任じられた武将・小笠原貞宗がやってくる。そこで頼重は「絶対に正体を悟られないこと」「弓の技術を盗むこと」という目的を達成させるべく、時行は当時のメジャースポーツである犬追物で貞宗と対決することになった。貞宗の弓を喉元に突きつけられてもなお、動じずに淡々と語るポーカーフェイスぶりを発揮したかと思えば、妙案を思いつた頼重は「心躍らぬ時行様ではありますまい!」と意気揚々と話し始める。中村が演じる頼重はキャラクターの息遣いがダイレクトに伝わってきて、まるで目の前にいるかのようなリアリティを感じさせる。

 早くも覇権アニメとして名前が上がっている『逃げ上手の若君』。まだ第一回の放送から1ヶ月しか立っていないが、中村の頼重はすでにハマり役となりそうな予感がしている。中村演じる頼重がこの先どのような表情を見せてくれるのか。時行の成長譚とともに、密かな楽しみになっている。

■放送情報
『逃げ上手の若君』
TOKYO MX、BS11ほかにて、毎週土曜23:30〜放送
キャスト:結川あさき、矢野妃菜喜、日野まり、鈴代紗弓、悠木碧、戸谷菊之介、中村悠一、小西克幸
原作:松井優征(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:山﨑雄太
シリーズ構成:冨田頼子
キャラクターデザイン・総作画監督:西谷泰史
副監督:川上雄介
プロップデザイン:よごいぬ
サブキャラクターデザイン:高橋沙妃
色彩設計:中島和子
美術監督:小島あゆみ
美術設定:taracod/takao
建築考証:鴎利一
タイポグラフィ:濱祐斗
特殊効果:入佐芽詠美
撮影監督:佐久間悠也
CGディレクター:有沢包三/宮地克明
編集:平木大輔
音響監督:藤田亜紀子
音楽:GEMBI/立山秋航 
音響効果:三井友和
制作:CloverWorks
©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
公式サイト:https://nigewaka.run/
公式X(旧Twitter):@nigewaka_anime

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる