高橋文哉の“一人二役”への布石は敷かれていた? “王道”を歩み続ける役者としての進化

高橋文哉が歩み続ける役者としての“王道”

 その演じ分けに器用さが求められることになるわけだが、翔と人生を交換する前の達人のメガネをかけて野暮ったい髪型のビジュアルからは、『夢中さ、きみに。』(MBS)の二階堂役を思い出してしまう。よくよく考えてみれば、“逆高校デビュー”を果たして本来の自分を封印した二階堂役も、ある意味では一人二役に近しいものがあったかもしれない。もっといえば、飛電或人が変身して仮面ライダーゼロワンになることも、ある意味では一人二役のようなもの。すでに今回の挑戦への布石は敷かれていたようだ。

 “ヤンキードラマ”というジャンルにおいては、最近ではすっかり見かけなくなった“ザ・ヤンキー”といわんばかりのインパクトあるビジュアルを持ち、それを保ちながらケンカという大立ち回りを繰り広げることが必要不可欠になる。そこに関しては“ライダー俳優”としての本領発揮といったところか。どぎまぎした達人と対になる、翔の鋭い眼光、ヤンキーとしての啖呵の切り方は、これまでの高橋の演技にはなかった一面を期待できるポイントでもあろうか。

 先述したようにこれまではテレビドラマでの活躍が中心だった高橋だが、今年に入ってからは映画への出演が連続している。『からかい上手の高木さん』で原作にはない10年後の西片の姿をうまく演じていたり、夏に公開される『ブルーピリオド』ではユカちゃん役を演じたり。そうした漫画原作に加え、オリジナル作品の『あの人が消えた』や、来年には直木賞受賞作の『少年と犬』で主演を張る。

 ライダーから出てきてテレビドラマで経験を重ね、映画界で一気に羽ばたく。最近は少なくなったこの王道の流れを綺麗に歩んでいるという点だけでも、その進化の過程を見守っていたくなる。

■放送情報
『伝説の頭 翔』
テレビ朝日系にて、7月19日(金)スタート 毎週金曜23:15〜0:15放送 ※一部地域を除く
出演:高橋文哉、関水渚、井桁弘恵、菅生新樹、中川大輔、駒木根葵汰、田中偉登、簡秀吉、石山順征、三浦獠太、森香澄、志田こはく、吉田伶香、金城碧海(JO1)
原作:原作・夏原武、漫画・刃森尊『伝説の頭 翔』(講談社刊)
脚本:古家和尚
監督:住田崇、近藤啓介、植田尚
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通 勉(MMJ)、倉田知奈(MMJ)
音楽:桶狭間ありさ
制作:テレビ朝日、MMJ
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/legend_head_sho/

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