安田顕×林遣都『死の笛』の全貌が明らかに 坂元裕二による想像を超える“温かく怖い”物語

安田顕×林遣都『死の笛』ゲネプロレポート

 2人は、一日ですっかり仲良くなるが、林の演じる炊事係が持っていた「笛」がきっかけで不穏な出来事が巻き起こっていく……。この笛は、あるときには音が鳴らないが、あるときには音が鳴る。その音が鳴ったとき、それを吹いたものは亡くなってしまうという話を林の演じる炊事係は偉い人から聞いていたのだった。

 林演じる炊事係には、ほのかに思いを寄せる‟リップルさん”という存在がいた。彼女に少しでも近づけるよう、安田演じる炊事係は、彼にダンスを教える。このダンスは、‟リップルさん”との距離を近づけるための練習の意味合いを持つが、踊っている2人の距離を確実に近づけているのが観ていてぐっとくる。

 ダンスの練習を追えて、林演じる炊事係は‟リップルさん”の元に行くために森の外に出る。しかし、その外出中に悲劇は起こる。安田演じる炊事係が、例の「笛」を吹いてしまうからだ……。この「笛」の音は、まるで誰かの悲鳴のようであった。

 多くの坂元作品がそうであるように、ここから先の展開は詳しく書かないで、新鮮な気持ちで観たほうが楽しめるだろう。それくらい、予想もつかない展開が次々と訪れる。

 彼らの暮す森の様子や、戦争中の彼らの様子も、決して身近なものではないのに、ふたりの炊事係が自らも知らない「謎」を追っていき、彼らに課せられたものが何なのかを見ていくと、現実社会にもつながっているような感覚がもたらされるところもある。それがわかってくると、温かさとともに怖さも感じられる作品であった。

■公演情報
『死の笛』
出演:安田顕、林遣都
企画・プロデュース:安田顕
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生
撮影:村松巨規

【東京公演】
会場:草月ホール(東京都港区赤坂7-2-21)
日程:7月5日(金)~7月14日(日)
チケット:全席指定9,000円(税込)
問い合わせ:オフィスキュー問い合わせフォーム

【札幌公演】
会場:かでるアスビックホール(札幌市中央区北2条西7丁目 道民活動センタービル)
日程:7月17日(水)~7月19日(金)
チケット:全席指定9,000円(税込)
問い合わせ:オフィスキュー問い合わせフォーム

【大阪公演】
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(大阪府大阪市中央区大阪城3−6)
日程:7月24日(水)~7月28日(日)
チケット:全席指定9,000円(税込)
運営協力:キョードーグループ
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888[11:00-18:00/日曜・祝日除く]
※未就学児童の入場不可
※車椅子での来場は各公演の「問い合わせ」まで
公式サイト:https://www.teamnacs.com/stage.php?ex=5d2_05

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「レポート」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる