『ブラックペアン』S2はなぜ実現? 伊與田Pが大切にする“嘘だからこそ伝えられる真実”

『ブラックペアン』S2を伊與田Pに聞く

「“命を扱っているんだ”ということだけは忘れないように」

――第1話のオーストラリアロケも話題ですが、撮影されてみていかがでしたか?

伊與田:やはり日本とは空気感がまったく違うので、オーストラリアのゴールドコーストで育ってきた天城というキャラクターを、その場所からスタートさせることができたのはよかったと思います。空が本当に真っ青で「ここで育った人だから、考え方が多少違うのは仕方ないことだな」と思えるような気候なので、それを体で感じられたのはすごく良かったんじゃないかなと。それに、オーストラリアではカジノが認められていて、今回は特別にカメラまで入れさせてもらえました。すごく感謝しています。実際、土日になるとものすごい人数が来るんですよ。本当にみんなが楽しんでいて、パワフルな場所だなと。もちろん天城は医者ですが、「賭け事にも強くて、こういう場所で勝ち続けている人なんだ」と肌で感じられる面白い経験でした。

――海外での撮影中、ハプニングなどはありましたか?

伊與田:日本以外での撮影は、大体うまくいかないことが多いです(笑)。でも二宮さんがいると、少し不具合が出てもサッとカバーしちゃうんですよね。だから、それが不具合に見えなくなる。誰かが失敗しても逆にそれが味になってしまうというのは、彼の優しさというか、巧さというか、ものすごく長けているところだと思います。たとえば外国のおじいちゃん役の方が、本番で急に喋れなくなってしまって。ちゃんとオーディションをしているんですが、たくさんの日本人に囲まれて緊張されたんでしょうね。それを二宮さんがさらっとアテンドすることで、うまくできてしまったり。あとはこれを本人に言うと怒りますけど、彼のグループが“嵐”だからというわけではないんですが、何故か雨を連れてくるんです(笑)。でも、ちゃんと本番では晴れるんですよ。これも、いつもすごいなと思っています。

――あらためて、『ブラックペアン』を制作する上で大事にしていることを教えてください。

伊與田:やはり人の命を扱うお話なので、「命に対して一生懸命に働いてる人たちが観て、嫌な気分になるのはよくない」という思いが強いです。海堂先生も医師免許を持ったお医者さんですし、実際の医師の方にも監修していただいていて、そこにお邪魔するようなかたちで僕らはドラマを制作している。エンタメなのでいろんな事件は起こりますが、そういった方々に観てよかったなと思っていただけるようなものにしたいなとは思っています。プラスだけでなくマイナスのことも起こらなければドラマにならないんですが、“命を扱っているんだ”ということだけは忘れないように。どうしても生きていることが当たり前だと思ってしまいがちなので、そこは意識するようにしています。

――本作に限らず、伊與田さんがドラマを作るときに「ここだけは貫こう」と思っていることも聞かせてください。

伊與田:いろいろとある中で一番に思うのは、基本的にテレビドラマは娯楽でフィクションなのでなくても生きていけるものだとも思うんです。、だけで、やるからには全力でそれをやっていく。「嘘だからこそ伝えられる真実」があると思うので、そこはちゃんと届けていきたいと思っています。流されたループ作業でやるのではなくて、「お前、本当に面白いと思ってるのか?」と自分に1個1個確認する。「締め切りだから」とか「予算がこうだから」ではなくて、「それがベストなのか」。自分が面白いと思うものがすべて面白くなるわけではないけれど、最低限、自分のハードルをちゃんとクリアしているものかどうかを考えながらやるようにしています。

――いよいよドラマがスタートします。最後に読者へメッセージをお願いします。

伊與田:この6年の間に「シーズン2があるのでは!?」という噂が流れたりしたりもしたので、続編を待ってくれていた方もいらっしゃると思います。その方々はもちろん、天城というまったく新しいキャラクターが出てくるので、今回から観ていただける方にも楽しんでいただける作品になっています。二宮さんはじめ、僕らはとにかく全力で作っていますので、「どんなもんかな」と第1話だけでもチャンネルを合わせていただけたらと思います。

■放送情報
日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』
TBS系にて、7月7日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:二宮和也、竹内涼真、葵わかな、キム・ムジュン、内村遥、今野浩喜、森田甘路、ヤマダユウスケ、松川尚瑠輝、水谷果穂、田中みな実、石坂浩二、趣里、神野三鈴、橋本さとし、段田安則、小泉孝太郎、内野聖陽
原作:海堂尊『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』(講談社文庫)
脚本: 槌谷健、守口悠介ほか
演出:西浦正記、加藤亜季子、伊東祥宏
音楽:木村秀彬
主題歌:小田和正「その先にあるもの」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
プロデュース:伊與田英徳、武藤淳、佐久間晃嗣
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/blackpean_tbs/
公式X(旧Twitter):@blackpean_tbs
公式Instagram:blackpean_tbs
公式TikTok:@blackpean_tbs

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