『街並み照らすヤツら』正義へ想いを述べる彩 吉川愛が担うコメディリリーフとしての役割
前回も触れた“場”という考え方において、このビリヤード場は常々仲間同士が小競り合いを繰り広げる場として機能してきたわけで、光一の名前を出しながら商店街をもっと良くしていこうと説く荒木に、龍一(皆川猿時)をはじめとした店主たちが食ってかかるのは当然の流れだ。そこで繰り広げられるエキサイトのまっただなかに、生配信中に取り乱すように駆け出してきた莉菜(月島琉衣)が現れて感情を爆発させ、それに荒木も呼応。次のシーンでは保釈されてくる正義のいる警察署にドタバタと場を移し、そして主人公である正義が涙ぐむまでに繋げられる。
この感情的なスラップスティックの一連は、その後訪れる裁判シーン――ひとりひとりが証言台に立って、正義を救うための証言を繰り返し積み上げていくゆえ、定型的な動きしか与えられないシーンの前兆として格別な激しさといえよう。ところで、彩が正義への想いをひとしきり述べた上で離婚届を破り宙に放ち、落下してきたそれがカラフルな紙吹雪へと変換される大団円。そのショットに、どことなく前田弘二の『セーラー服と機関銃 -卒業-』のラストの歌唱シーンを思い出したが、今回は鯨岡弘識演出回だったようだ。
■放送情報
土ドラ10『街並み照らすヤツら』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演 : 森本慎太郎(SixTONES)、月島琉衣、浜野謙太、吉川愛、曽田陵介、萩原護、宇野祥平、皆川猿時、森川葵、船越英一郎
脚本:高田亮、清水匡
音楽:大野宏明
監督:前田弘二、鯨岡弘識、中里洋一
プロデューサー:藤森真実、榊原真由子、宇田川寧、妙円園洋輝
チーフプロデューサー:田中宏史
制作協力:ダブ
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
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