『虎に翼』ハ・ヨンスが学生時代とは違う“新しい香淑”に “戦後”を背負った芝居の変化
それでも、全ては命があってこそ。香淑はよねの「朝鮮に帰るなら今しかない」という言葉に後押しされ、高等試験受験前に帰国することに。寅子たちは“最後の思い出作り”に5人で海へ。思いつきだったこともあり、空は曇り空で海辺はどんよりとしていたが香淑は嬉しそうだった。そこで、涼子が「お国のお言葉でのあなたのお名前は?」と聞いた。香淑は砂浜に「崔香淑」と書き、「チェ・ヒャンスク」と読んだ。それまで香淑は「崔さん」や「香淑(こうしゅく)さん」と呼ばれていたが、これをきっかけに“ヒャンちゃん”と呼ばれるようになった。この海辺でのシーンは、今でも寅子が女子部のメンバーを思い出す時に流れてくるものである。寅子の仲間は、当時はそれだけで立場の弱い存在であった「女性」であるということ以外に、それぞれに“地獄”を抱えていた。香淑には国と国が対立していた「時代」と「人種」の壁が大きく立ちはだかった。
香淑役のハ・ヨンスは、「今まで(学生時代)はちょっと子供っぽく演技をしていたんですけど、これから演じる予定の新しい香淑は演技的に使う筋肉を抑えようと思ってます」と放送前のインタビューで語っていた。(※)このときは初登場時と日本を離れるときとの違いを語っているのかと思ったが、文字通り“新しい香淑”として『虎に翼』に帰ってきた。ハ・ヨンスの学生時代とは違う、“戦後”を背負った新たな芝居をこれから見ることができそうだ。
ハ・ヨンス、日本で挑戦し続ける覚悟を語る 『虎に翼』崔香淑役は人生の第2幕に
朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)の第2週より登場している、明律大学女子部法科の寅子(伊藤沙莉)の同級生・崔香淑(さいこうしゅく)。…
香淑が戦争を生き延び、「すべての国民は法の下に平等である」ことが明記された新しい日本国憲法のある日本で生活していたことはとても喜ばしい。しかも香淑と寅子は偶然にも再会できたのだ。もっとせっかくの再会を喜べたら良かったのに、寅子に気づいた香淑は気まずそうな顔を見せ、目をそらした。一体、彼女にどんなことがあったのだろう。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2024/04/post-1635624.html
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK