内山昂輝、声優の“てっぺん”を取るのは「声質と努力を続ける人」 映画への想いも語る

内山昂輝、声優のてっぺんは「努力する人」

 さまざまな表現はあれど「不良の頂点を目指す」というフレーズは、ヤンキーを題材にしたアニメ作品において、よく耳にする王道のテーマかもしれない。しかし、現代に溢れかえるヤンキー作品の数々の中でも、間違いなく“本物のてっぺん”を取りに行く気概を感じさせる作品が『WIND BREAKER』だ。

 超不良校として名を馳せる風鈴(ふうりん)高校に、喧嘩を求めて転校してきた1年生・桜遥。しかし桜はやがて、風鈴高校がただの不良校ではなく、街を守る「防風鈴(ボウフウリン)」としての役割を果たしていることを知る。

 不良が英雄として頼られる街を舞台にした『WIND BREAKER』の魅力は、ただケンカが強いだけではない、深いバックグラウンドを持つ登場人物たちにある。そんな中でも、桜のライバルであり仲間である杉下京太郎を演じるのは、声優の内山昂輝だ。

 『WIND BREAKER』における杉下は、「クールな外見の下に熱い想いを秘めている」と語る内山。そんな彼が杉下の如く本作に込めた思いや、声優のキャリアで“てっぺん”に立つ人物に共通するマインドを聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

『WIND BREAKER』は「ヤンキーものとして研ぎ澄まされた作品」

ーー内山さん演じる杉下京太郎は主人公・桜遥のライバルでもある存在だと思いますが、内山さんは杉下をどのような人物だと感じましたか?

内山昂輝(以下、内山):杉下京太郎というキャラクターは、無口でありながら、胸には秘めている思いがあるキャラクターです。ただ、形となって出てくる言葉が少ないところは、声を当てる側として難しさも感じました。自分の心情を表現するような場面が少ないと、限られた言葉の中でキャラクター性を表現しなければならないので。より一層、一言ひと言を大切にしたいと思うとともに、「ここぞ!」という時に、ちゃんと役割を果たしたいと強く感じていました。

ーーそんな杉下が、まず拳を交えることになるのが桜です。桜についてはどう感じましたか?

内山:桜は、自分の正義感と信念に基づいて行動する熱血系の主人公なのに、堅苦しいわけでもないんですよね。他人の意見でも、正しいと信じることができたら、ちゃんと取り入れる。自分をブラッシュアップさせることを怠らない人なので、視聴者の方々にとって、 きっと愛されるキャラクターになっていくだろうと思います。

ーー『WIND BREAKER』では、「喧嘩=対話」という要素が色濃く描かれます。杉下を演じる中で、他のヤンキー作品との違いについて、何か感じたことはありますか?

内山:ヤンキーものとして、かなり研ぎ澄まされた作品だと思いました。シンプルに主人公が学園に入って、様々なキャラクターと出会ってバトルが続いていく……例えば『東京リベンジャーズ』のタイムリープ能力のような特殊なギミックが設定内にないまま、物語が進んでいくじゃないですか。

ーーある意味では今の時代に珍しいくらい、圧倒的な喧嘩の強さで桜が勝ち上がっていく感じですよね。

内山:まさに“骨格で勝負”とも言えるような、シンプルな面白さで勝負してくる真っ直ぐな作品だと思いました。

ーー『WIND BREAKER』では掛け合いのシーンもかなり多い印象ですが、こうしたアクション系作品において演技の面で特に意識していることなどはありますか?

内山:『WIND BREAKER』はキャラクターも多いので、バトルはもちろんですが、喫茶店や学校での会話も、テンポのいい会話で見せていくシーンが多くて。それぞれのセリフをどう表現するかも大事ですけど、全体のリズム感を汲み取っていくのも、みんなでアフレコをする意義なので。

ーー他の役者さんの演技を受けて、アフレコ現場で生まれたものを大切にするということでしょうか?

内山:そうですね。とはいえアニメなので、完成しつつある映像にどう声を当てていくかというのは、前提にあるのですが……。そこに僕らの仕事が加わることによって、いい化学反応が生まれてほしいといつも思います。自分で用意したものにこだわりすぎず、臨機応変に相手の言い方を受けてのリズムを重視してやってみるっていうのは、大事なんじゃないかなと。

ーーそうしたアフレコ現場でさまざまな方と共演する中で、杉下が梅宮を特別視して尊敬しているように「この人は特別だな」と感じた方はいらっしゃいますか?

内山:声優の皆さんはそれぞれいいものをお持ちなので、“この人”というのは難しいのですが……。スタジオで生の声を聞いて、「このやり方いいな」と感じたら、どなたに限らず自分なりに試行錯誤して取り入れてみようとは思っています。声の仕事というものは、生まれもった声質でほとんどのことが決まってしまうので、良い声質を持っている人を「才能がある」といえるのかもしれません。それでも、声質プラス、その声をどう使うかでオリジナリティがないと埋もれてしまうので。持って生まれた声質に才能がある人が、さらに努力すると“てっぺん”を取れるのではないでしょうか。

ーーそういうものを他の役者さんに感じられる瞬間も……?

内山:仕事をしていて、「この方はたくさん努力をされてこられたんだな」とか「才能もあるのに、ちゃんと怠らずに日々練習してるんだな」っていうのは、スタジオで一緒にアフレコをしていると案外分かります。そういう方は大体、いろんな作品で名前をお見かけする感じがしますね。

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