『6秒間の軌跡』橋爪功×原田美枝子、名優2人の無言劇 “出会い直し”に滲む愛情
航の死後、“イマジナリー親父”を自分で作り出してしまうほど以前は心許なかった星太郎。けれど、紆余曲折あって、星太郎は幽霊の航がいなくなっても取り乱さずに日々を過ごせるようになった。だからこそ、他には理由が見当たらず、再び航が現れたことを不吉な未来の暗示だと思ってしまったのだ。
それはある意味、星太郎の成長であり、もう自分がいなくても大丈夫だと思えたから航は再び現れた。もし星太郎が大丈夫じゃない状態で現れたら、いつまで経っても彼は航に頼りきりで、1人の人間としても花火師としても成長できないままだから。けれど、息子には会いたいから、その成長を見届けた上で航は会いにきたのだ。それは航なりの不器用な星太郎への愛情。理代子が、星太郎から会いにくるまで自分からは一度も会いに行かなかったのも、勝手ではあるけれど母としての愛情だったのかもしれない。何らかの理由で別れた人たちが“出会い直す”には時間が必要なのだ。
では、何が星太郎を航がいなくても“大丈夫”にさせたのかといえば、それはきっとひかりの存在なのだろう。ひかりはなんだかんだ言いながらも、ぐじぐじ悩む星太郎にいつも付き合ってくれる。星太郎がふみかに火薬の配合レシピが盗まれたと不安になった時も、レシピ通りに料理を作っても同じ味にならないように花火もそうではないのか、と冷静に諭してくれたひかり。そんな彼女のことだから、「野口さん、うちの配合レシピを見たそうです」という要領を得ない報告メールも何かの意図があるはずだ。
次週は早くも最終回。星太郎はふみかが不在のまま、ひかりと一緒に花火競技会に臨む。花火と同じで、本作が最後に見せる美しくも一瞬の煌めきを見逃さないようにしたい。
■放送情報
土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:高橋一生、橋爪功、本田翼、宮本茉由、小久保寿人、原田美枝子
脚本:橋部敦子
監督:藤田明二(テレビ朝日)、竹園元(テレビ朝日)、松尾崇
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、後藤達哉(テレビ朝日)、山形亮介(KADOKAWA)、新井宏美(KADOKAWA)
音楽プロデュース:S.E.N.S. Company
音楽:森英治
主題歌:ケツメイシ「泣いても笑って」(avex trax)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:KADOKAWA
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