リュ・ジュンヨルらが挑む危険なマネーゲーム 『The 8 Show』の結末に残るモヤモヤ感

『The 8 Show』に残るモヤモヤ感

社会の構図を見るかのような8人の運命

 謎のビルに入って一夜明け、各階に住む8人が顔を合わせると、衝撃の真実が判明する。なんと上階に住む人ほど毎分得られる報酬が多かったのだ。1階が1万ウォンであるのに対し、8階は34万ウォン。しかも提供される飲食は最初に8階が与えられ、エレベーターで順に1階まで運ばれていくシステムなのだ。すべてにおいて上の階が優位な立場にあり、否が応でも下の階を選択した人は自分の不運を嘆くことになる。まさに現代社会の構図を見せつけられているようだった。

 各階の力関係はショーが進むうちに顕著になっていく。恐ろしかったのが、多数決でトイレ部屋に指定されてしまった8階がヘソを曲げて食料を一切に下の階に降ろさなくなってしまうシーンだ。

 水も食べ物も一切降りてこない中、飢えに耐える1階から7階までの住人。死んでしまっては意味がないと時間を使い切ってショーを終わらせようとする2階に縋り付いて止める1階の金に対する執着、そして最終的にトイレ部屋を引き受けると決意した3階。

 3階の決意で8階は機嫌を直して食事と水を下の階へ降ろし始めるのだが、人間が生きていくために必要な水と食を止めてしまう8階の恐ろしい作戦に背筋が凍る思いがした。死を意識した3階が食事と水を与えられた瞬間、涙を流し「人間にはさまざまな欲があるが、何はともあれ食だ!」と心の中で叫ぶシーンは、かなり説得力があると感じた。

 こうして8階が絶大な権力を持ち、それにすり寄った6階、4階の上層階組と1階、2階、3階、5階の下層階組、両者を行ったり来たりする7階のバトルが際限なく繰り広げられていく。それは時に相手をボコボコに殴り、拷問をするというおぞましいものだ。

 一体このバトルはどこまで続くのか、二度と終わりを迎えないのでは……と思うのだが、1階の死という衝撃的な結末でショーは終わることになる。

主催者は誰? 多くの謎が解明されないまま残るモヤモヤ感

 ここで、ショーを続けるためには、監視カメラで見ている主催者が8人の様子を見て面白いと感じなければ時間が加算されないことを述べておかなくてはいけない。時間を加算するために、8人は必死にパフォーマンスを見せていたわけだが、やがて精神的な限界を迎え、参加者のほとんどがショーを終わらせることに賛同する。

 しかし1階だけはその決断を拒否し、主催者を面白がらせるために危険なパフォーマンスに挑む。その結果命を落とすことになり、結局下層階の人間が犠牲になるのか……となんとも切ない気分にさせられた。1階の死を悼み、2階、3階、4階、5階が集まって葬儀を行うのがせめてもの救いとなった。

 ショーが終わり、参加者は大金を得て解放されたが、主催者が何者なのか分からず、モヤモヤが残った。誰に向けてショーを見せていたのか、参加者が滞在していた建物は何なのか、謎が解明されないままだ。

 エンディングではシーズン2を示唆する台詞があったので、ぜひ近いうちにモヤモヤを解明してほしいと願ってやまない。

■配信情報
『The 8 Show ~極限のマネーショー~』
Netflixにて、独占配信中
出演:リュ・ジュンヨル、チョン・ウヒ、パク・ジョンミン
原作・制作:ハン・ジェリム

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