『猿の惑星/キングダム』成功の裏に2人の陰の立役者 ウェス・ボール監督が明かす制作秘話

『猿の惑星/キングダム』監督が制作秘話語る

『猿の惑星』の醍醐味は「エイプたちの姿に私たち人間が重なるところ」

ーー劇中のセリフにもあるように、“エイプと人間は共存できるのか”というのが、この『猿の惑星』シリーズのテーマです。我々は人間サイドではありますが、エイプサイドにも大きく感情移入できてしまうのが特徴的ですね。

ボール:エイプと人間のバランスを描くのはトリッキーな作業でした。ノアという新たなエイプの視点から始まるので、そういうストーリーかと思っていると、途中でノヴァという人間のキャラクターが登場し、最終的にはノアとノヴァそれぞれの物語になっていく。ノアとノヴァは出会ったことによって、お互いに変化を与えていくんです。物語が終わるときには、人間サイドのストーリーがまだまだあることを知る。次の物語への扉が開いている状態で終わるわけですね。ノアとノヴァがお互いを変えて、これからいろんなことを学んでいく中で、今後どのような関係性になっていくのか興味深いですよね。『猿の惑星』シリーズが面白いのは、作品の中のエイプたちの姿に私たち人間が重なるところです。結局、人間という存在について考えさせられるのが、このシリーズの醍醐味だと思います。

ーーまさにこの続きを観たいと思いました。監督自身、続編を手がけたいという意思はありますか?

ボール:僕の中には『猿の惑星』としてまだまだ語りたいストーリーがあります。ただ、スケジュールの問題もありますし、ちょうどこの『猿の惑星/キングダム』が終わったばかりなので、考えるのはまだ先ですね。この次には日本と深い関係のある作品(『ゼルダの伝説』)も控えていますし……(笑)。嬉しい悩みですね。

ーーちょうど先日新たにリブートされることも発表された『メイズ・ランナー』シリーズも興行的に大成功を収めていましたが、『メイズ・ランナー』シリーズの経験が今回の『猿の惑星/キングダム』に活きたことはありましたか?

ボール:『メイズ・ランナー』シリーズで学んだ一番大きなことは、映画づくりの基本的な部分でした。リソースのマネジメントをしながら、撮影、VFX、編集をどう行っていくか。それと、ビッグバジェットのスタジオ映画をどう作っていくかを学んだのも『メイズ・ランナー』でした。実は、今回の『猿の惑星/キングダム』の製作費は、『メイズ・ランナー』シリーズ3作品分の製作費よりも高かったんです。『猿の惑星/キングダム』はそれくらいスケールの大きい作品だったので、『メイズ・ランナー』シリーズでの経験がなければ、『猿の惑星/キングダム』は作れなかったと思います。そういう意味では、今回の『猿の惑星/キングダム』の経験も、次の『ゼルダの伝説』に活きてくれればいいなと思っています。

ーー『ゼルダの伝説』の監督にも決まり、順調にキャリアを積んでいるように見えますが、監督自身、やってみたいけどまだできていないことはありますか?

ボール:実は、物静かな人間ドラマを作ってみたいんですよね。大きなプレッシャーがかかる大作ではなく、もっと規模の小さい映画を撮ってみたいんです。

ーーそうなんですか? それ意外な答えでした。

ボール:僕は常に、リアルに感じられるキャラクターを描いて、良質な映画を撮りたいと思っています。ブロックバスター映画も大好きですが、実はインディー映画的なスピリットも持っているんです。大きなテーマを持って物語を語るという映画づくり自体が好きなので、今後も自分の心の赴くままに映画づくりができれば嬉しいですね。

■公開情報
『猿の惑星/キングダム』
全国公開中
監督:ウェス・ボール
出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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