『虎に翼』男子学生のヤジは現代を暗喩する 「本気なんて目に見えない」という金言も

『虎に翼』男子学生のヤジは現代を暗喩する

 朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)第12話は、涼子(桜井ユキ)の家庭事情が描かれるとともに、寅子(伊藤沙莉)たち昭和初期の時代に生きる女性たちが権利のために戦う姿が描かれた。

 ある日の放課後、法廷劇の衣装作りのために、涼子、梅子(平岩紙)、香淑(ハ・ヨンス)、そして花江(森田望智)が寅子の部屋に集まって作業をしていた。だが、そこに桜川家の執事・岸田(奥田洋平)が険しい表情を浮かべて猪爪家にやってくる。「女子部存続のためにも頑張りましょうね」と話す寅子に対し、涼子は「オフコース。任せてちょうだい」と笑顔を見せているが、岸田と涼子の間の2人の張り詰めた空気感からはただならぬ家庭事情が垣間見える。

(左から)猪爪花江役・森田望智、猪爪寅子役・伊藤沙莉、桜川涼子役・桜井ユキ、崔香淑役・ハ・ヨンス、大庭梅子役・平岩紙

 今回から登場した岸田を演じている奥田洋平は過去にも『とと姉ちゃん』で青柳商店職人・戸田、『ひよっこ』ではラジオ工場主任・松下でも出演しており、今回が三度目の朝ドラ出演。岸田はこれまでの役柄とは正反対とも言えるが、無機質で冷たい表情がとてもよく似合う。

 涼子の桜川家は良家でありながら、ここ三代で男が生まれず婿を迎えていた。女性よりも男性が優位である猪爪家に対して、桜川家は少々事情が異なり、父である侑次郎(中村育二)は入婿で、妻・寿子(筒井真理子)よりも弱い立場に置かれていた。寿子は涼子に対して、自分と同じように婿を取り、桜川家を守ってくれることを望んでいるが、侑次郎は涼子に対しては寛容な態度を取っている。侑次郎が桜川家の事情に首を突っ込むと、寿子は「もうあなたは黙っていらして!」と語気を強め、侑次郎はこれ以上何も言うことができない。全ては桜川家の存続のため。寿子の「桜川家の女として生まれた役目を果たしなさい」という言葉は涼子に重くのしかかっていた。

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