『ソウルフル・ワールド』は映画館で観ると感動が深まる? 心理学者がその理由を解説

『ソウルフル・ワールド』を心理学者が語る

 4月12日より公開中の『ソウルフル・ワールド』の劇場での“感動体験”について、専門家のコメントが到着した。

 8月1日に公開される『インサイド・ヘッド2』の公開を記念して、劇場未公開だった『ソウルフル・ワールド』が4月12日より2週間限定で劇場公開中だ。

 第93回アカデミー賞で長編アニメーション賞と作曲賞を受賞した本作は、生まれる前の魂<ソウル>の世界を舞台に、やりたいことがないソウルの女の子22番と夢を叶えたい音楽教師のジョーが、冒険の中で自分だけの“人生のきらめき”に気付いていく物語。

 東洋大学社会学部社会心理学科の戸梶亜紀彦教授は、心理学的観点から“映画館で観る=五感で感動体験ができる”と語り、映画館で観るとより感動が深まることを解説した。

 昨今、様々なSNSやオンラインコンテンツの発展からリモートでも楽しめることが大幅に増えた一方、リアル脱出ゲームや映画や物語の世界観を体験できる施設など、人間の五感ーー視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚ーーを使って楽しめるコンテンツやイベントが人気を博している。

 戸梶教授によると、“リアルでの体験はより大きな感動を得られる”そうで、「人間には五感があって、それで感じられることが重要なんです。今、リアルで経験しなくてもネット上でいろいろ見たりできて、行ったことないのに行った気になってしまいがちですが、実際に行ったら想像と全然違いますよね。匂いや日差し、湿度も全然違っているので、そういう時にこそ五感がはたらくのです。基本的に人は初めてのことに対してはいろんなことに気付くし感動しやすいのですが、改めて気付かされた時にも実感がともなっているので『こういう感じなんだ』『こういう匂いなんだ』『こういう心地よさがあるんだ』って気づいて感動するんです」と解説する。

 さらに戸梶教授は本作自体がそうした“五感”を使い感じる日常の幸せが描かれていると力説。例えば、やりたいことがずっと見つからなかった22番がニューヨークの街で食べたピザの味に感動したり、 ジョーが22番との冒険の中で当たり前だと思っていた日常のかけがえのなさに改めて気づいたりする姿が印象的だったと語る。また戸梶教授は、魂<ソウル>の世界で生まれる前のソウルたちが、生まれた後の自分を構成する性格や人生のきらめきを自分で選ぶシーンも挙げて、「ソウルの世界では食べたピザの味がしなかったり、食べたはずのピザがそのままおしりからでてきてしまうシ ーンがありましたが、その後ニューヨークの街で実物のピザを食べてそのおいしさを知るシーンがあって、『なるほどな』と思ったんです。他にも、いちょうのタネが落ちてきてそれに触れたり、風の心地よさも肌で感じたりしているんです。そういう五感で感じる経験の大切さを伝えているように感じました」と語っている。

ソウルフル・ワールド
インサイド・ヘッド2
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■公開情報
『ソウルフル・ワールド』
劇場公開中
監督:ピート・ドクター
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド2』
8月1日(木)劇場公開
監督:ケルシー・マン
制作:マーク・ニールセン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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