『下剋上球児』よ永遠に! 中沢元紀×兵頭功海×小林虎之介×橘優輝×生田俊平が振り返る
『下剋上球児』のディレクターズカット版Blu-ray&DVD-BOXが4月12日に発売される。2023年10月から12月にかけてTBSの日曜劇場枠で放送された本作は、無名の公立校である越山高校の野球部が甲子園出場を実現するまでの歩みが感動を呼んだ。最終話の熱気も冷めやらない2023年12月下旬、犬塚翔役の中沢元紀、根室知廣役の兵頭功海、日沖壮磨役の小林虎之介、久我原篤史役の橘優輝、楡伸次郎役の生田俊平に本作の魅力を語ってもらった。
放送を終えての心境
ーー最終話の放送から約2週間が経ちました。撮影を終えて今どんな気持ちですか?
橘優輝(以下、橘):久しぶりにみんなに会えて嬉しいですし、懐かしく感じます。
生田俊平(以下、生田):僕はすごい反響を感じています。青森に帰省してから「観てたよ」という人に多く会いますね。終わってからの方がやっていた時より人気というか、ファンになってくれた方がたくさんいたと感じます。同級生からもすごく連絡が来ました。「いつ役者を始めてたの?」「応援してるよ」と言われるので、頑張りたいなと思います。
小林虎之介(以下、小林):僕も二人と一緒です。内外から評判が良くて「観たよ」という反応もあるし、このメンバーと久々に会ったら楽しかった撮影を思い出して、元気になれると感じました。
兵頭功海(以下、兵頭):終わってから「寂しいな」と思いました。「日曜日もうないんだな」と思いながら年末を迎えています。
中沢元紀(以下、中沢):僕も寂しい気持ちがあります。ほぼ毎日のように集まって球場で撮影をしていて、みんながいるのが当たり前になっていたので。終わってから寂しかったですけど、今日集まれてすごく楽しいです。
ーー撮影では野球のシーンがあって、初めての挑戦も多かったと思います。一番大変だったのはどんなことでしたか?
橘:久我原と壮磨(小林虎之介)は遅れて入部したので、すごく暑いと聞いていた真夏の撮影にほとんどいなかったんです。なので暑さは経験しなかったんですけど、撮影の最後の方は寒さとの戦いでした。
生田:冬の星葉高校戦が一番大変でした。一番最後に撮影したのですが、放送までの日程がタイトでした。ピッチャー陣もそうですけど、それぞれプレーするシーンがあって、何度も走ったり打ったりしました。「みなさんの声援に応えないと」と思い頑張っていましたが、終わった後の夜は爆睡してましたね。4日連続で続いたので、それが一番大変だったなと。
小林:野球のシーンは朝6時から16時くらいまで日中はずっと撮っていました。日が沈んだ後もベンチや球場の裏で芝居を撮ってたりして、翌日も朝から撮影の日が後半は多かったです。体力が尽きそうになるくらい頑張りました。
兵頭:僕は三重弁が大変でした。方言の音声データをもらって、セリフを読んでもらった音を聞きながら覚えるんですけど、初めて方言をこんなにがっつりやって。方言って覚えすぎるとその場の感じでしゃべれないし、覚えないとおろそかになって観ている方々に「三重弁じゃない」と思われてしまうので難しいなと。アドリブで出る言葉が三重弁じゃないといけないんですよ。撮影後半はみんな自然に出てくるんですけど、最初はそれがすごい難しかったです。
中沢:8月に撮影した越山ドーマーズ戦がきつかったです。暑さもですが、ピッチングフォームが課題で、犬塚翔として説得力を持つ姿を見せないといけないと思っていたので。頑張っていたんですけど、ストライクが入らないと撮影が始まらないこともけっこうあって、小日向(文世)さんや先生たちを待たせていることもあってプレッシャーがありました。
ーーピッチングは何度も撮り直したんですね。
中沢:ドーマーズ戦は何回も投げました。何回投げてもボールにしかならなくて、気合でやってました。
生田:ドラマ後半でストライクが入るようになって、慣れてきてからはめちゃくちゃ早かったよね。
小林:最後の打席とかね。あれ一発だったもんね。
生田:あれはヤバい。あれで泣いたもん。三球連続で決めた時。
小林:受けててビックリした。
中沢:撮影していく中で少しずつ上達しました。
ロケ先での忘れられない出会い
ーー撮影で各地に滞在したと思いますが、ロケ先での印象的なエピソードはありますか?
中沢:甲子園に入場する時のアルプススタンドの景色は一生忘れないと思います。本当にたくさんの人に協力していただいて、エキストラさんのご協力がないと成立しない作品でもあるので、本当に感謝しかないです。僕たちも期待に応えようとプレーやお芝居を頑張っていたので、あの景色は本当に忘れられないです。
兵頭:第1話冒頭の最終話につながるシーンなんですけど、あの時初めて三重に行って撮ったんですよ。日沖兄(誠・菅生新樹)の代の開会式の行進も撮ったんですけど、スタンドが埋まって、ブラスバンドもいて、他校も並んで行進するので、規模の大きさを実感しました。実際に地方に大会で来て、開会式に参加するみたいな感覚がありましたね。
小林:三重での撮影が午前中で終わった日に、椿谷(真倫・伊藤あさひ)と根室(知廣・兵頭功海)と3人で地元をブラブラしてたんです。かわいい映えるカフェに行った後、ゲーセンに行ったんです。いろいろ回った中で車のゲームがあって、4人席に3人で対戦したんですよ。
兵頭:それね!
小林:2回目をやって、どっちが勝つかなっていう時に、地元の不良っぽい子が乱入してきて。急にゲームがリセットされて始まって、そこで越山チームで「負けねえぞ」と。でも、彼は課金とかしてハイクラスの車を持ってたんです。
兵頭:車種を選ぶんですけど、スピードもこっちがパワー300くらいだったら、向こうは700くらいみたいな。
小林:最後は1位から3位でフィニッシュしました。相手のほうは地元の少年たちが「行け! 行け!」って応援していたので、僕らも団結して。勝った後は「ありがとうね」って言って帰りました。
生田:夏の犬塚ドリームグラウンドの冷たいシャワーが一番覚えてますね。泥まみれで、練習が終わったら服を脱いでシャワーを浴びて、みんな裸で「冷てえ!」ってはしゃいでたのが、青春してるなって。夏ずっとだったよね。
兵頭:廃校のシャワーなんですよ。プール横の小さい頃「地獄のシャワー」とか言ってたシャワーの栓をひねって。
生田:めちゃ水圧強いんです。
兵頭:あれはカメラを回してたら良い画が撮れただろうなあ。
生田:みんな良い体してるから。僕だけわがままボディーです。いつか根室の裸を見てもらいたいです。
兵頭:写真集では上も脱いでます。
橘:僕は抽選会です。中・高と陸上部だったので、他校が集まって大きなホールで抽選をするのがすごく新鮮だったんですよ。対戦相手が決まっていく独特な感じがあって、そこから盛り上がっていくんだろうなと思いました。思い出に残っているのは甲子園です。
小林:甲子園の前日にみんなで夜ご飯に行ったんですけど、クガ(久我原)のせいでバレそうになったのが面白かったよね。髪型が特徴的だから。
ーー生田さんは高校時代に甲子園に出場していますが、今回、役者として出て違いは感じましたか?
生田:全然違いますね。高校の時は野球だけに命がけというか、まっすぐになっていたのでグラウンドからの景色を見られていないんです。役者として踏んだ時の方がより鮮明に、こんなに観客が多いんだとか、こんなに良いグラウンドでやってたんだとか、意外と甲子園の土ははねるみたいな細かいところに気付きました。甲子園でやった実感は役者になって出た方が強かったですね。