宮﨑駿、『君たちはどう生きるか』で2度目のオスカー 作家性と功績が評価される結果に

『君たちはどう生きるか』オスカー受賞を分析

 日本時間3月11日に授賞式が開催された第96回アカデミー賞の長編アニメーション部門を、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』が受賞した。本作は日本で7月14日に、北米で12月8日に公開。宮﨑の10年ぶりの監督作にして、オスカー受賞は2001年公開の『千と千尋の神隠し』以来の快挙となった。

 太平洋戦争の最中、母親を失った少年・眞人が疎開先の田舎で思いがけない冒険を繰り広げる本作。父の再婚相手が住む屋敷で、人間の言葉を話す青サギに出会った彼は行方をくらました義母を探すため“下の世界”に足を踏み入れる。公開時に宮﨑監督の引退作とも謳われ、自ら脚本も手がけた。

 宮﨑監督の作品はこれまで『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』、『風立ちぬ』がアカデミー賞同部門にノミネートされてきたが、受賞は『千と千尋の神隠し』に続き今回が2度目。なお、関係者が授賞式を欠席していたため受賞スピーチはなく、代理受賞の形となった。

 『君たちはどう生きるか』は、国内公開前に一切のプロモーションがなかったことでも話題となったが、2023年9月開催の第48回トロント国際映画祭でオープニング作品として上映されたことで世界からも注目を集めた。なぜなら、邦画やアニメーション作品が同映画祭のオープニング作品に選ばれたことが史上初だからだ。北米では公開後初の週末興行収入で約1280万ドルに達したことでオリジナルアニメーション作品として初めて興行収入ランキングの首位に立った。その後も成績は伸び、世界興収で100億円を突破。

 北米版では眞人役を新人ルカ・パドヴァン、キリコ役を『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー、青サギ(サギ男)役を『THE BATMAN ―ザ・バットマンー』のロバート・パティンソン、勝一役を『ダークナイト』のクリスチャン・ベール、インコ大王役を『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのデイヴ・バウティスタ、大伯父役を『スター・ウォーズ』シリーズのマーク・ハミル、ヒミ役を『スーサイド・スクワッド』の福原かれん、老ペリカン役を『哀れなるものたち』のウィレム・デフォーが演じ、そのキャスティングの豪華さも話題になった。

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