『ブギウギ』主題歌は“スズ子の人生”を歌っていた 「ハッピー☆ブギ」が象徴するもの
明るいブギの曲で人気となったスズ子だが、その人生は悩みと別れが多く、朝ドラを観終わる時にはちょっとしんみりしてしまうことも多い。だが毎朝、やっぱりブギ調の「ハッピー☆ブギ」が流れてくると、自然と楽しくワクワクした気持ちになる。まさに歌詞にある通り、「ブギウギ」という言葉は<魔法の言葉>で<体が自然と踊り出す>ものだ。きっとこれはスズ子の気持ちを表す言葉でもある。そういう意味で、主題歌「ハッピー☆ブギ」はドラマ『ブギウギ』を象徴する歌であると同時に、歌手・福来スズ子の歌手としてのマインドを表した歌とも言えるのではないだろうか。
羽鳥が「あと1年はいたい」というくらい刺激的な経験をしたアメリカでの公演。ドラマの中では描かれなかったが、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子と服部良一が訪れたハワイでは『買物ブギー』の一節、「ワテはほんまによう言わんわ」や「おっさんおっさん」が街中でも流行語として定着しており、服部は地元の住民から「おっさんおっさん」と呼び止められ、シヅ子も「ワテはほんまによう言わんわ」と声をかけられたというエピソードが残っている(※)。自分の曲がこれほどまでに受け入れられ、まだまだ知らない音楽や芸術があることを知った羽鳥がそのようにいうのも無理はないという気がしてしまう。その一方で、「愛子がいないと寂しい」と言ったスズ子はやはりどこまでも、歌手である前にひとりの人間であることを大切にしていることがわかる。
『ブギウギ』愉快な「買物ブギー」はいかにして誕生した? 史実から紐解く“遊び心”
大野(木野花)がやってきて、スズ子(趣里)の家が一気に賑やかになったNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。人が増えたのももちろんだが…
歌手として成長して、愛子をいっぱい抱きしめたスズ子はさらにエネルギッシュになるはず。<突っ走って ぶっち切って 歌って踊ろう!>の歌詞を体現する、パワフルなスズ子をこれからも楽しみにしたい。
参照
※『ぼくの音楽人生―エピソードでつづる和製ジャズ・ソング史』 服部良一 1993年 日本文芸社
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie