板垣李光人、“優しいだけ”で終わらない表現力 『マルス』ゼロとアイコンは最強のコンビに

板垣李光人、優しいだけで終わらない表現力

 高校生といえば、「箸が転んでもおかしい年頃」と言われるほど、なんでもないことが楽しく思える時だ。『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)の主人公・ゼロ(道枝駿佑)が所属している桜明学園高校の動画研究会には、そんな高校生たちが7人もいる。だからやっぱり、その部室となっている備品倉庫にはいつでもうるさいほどの賑やかな声が響いている。わちゃわちゃとするメンバーを見て、うっすらと涙を浮かべる男子生徒がいた。それが板垣李光人が演じる“アイコン”こと逢沢渾一である。

「高校生活、ずっと1人だったから、こういうワイワイした感じにどこか憧れてて、なんかほっこりする」

 というのがアイコンが泣きそうな理由。その言葉には、思わずぎゅっと抱きしめたくなってしまいそうなほどピュアな気持ちがつまっていた。アイコンは学校でいじめに遭っており、唯一の心の拠り所で楽しみにしていた動画配信者も活動を停止。そのことをきっかけに人生に絶望し、自ら命を絶とうとしていたアイコンは、偶然ゼロと出会って命を救われる。同じ学校に転校してきたゼロの過激な言動に最初は戸惑うが、同時にこの男なら本当に現実を変えられるかもしれないという期待を抱き、ゼロが率いる動画集団「マルス」では彼の右腕的存在になろうとしている。

 アイコンは優柔不断だが、人の痛みがわかる優しい性格。板垣はこれまで、そういう性格の人物を演じてくることが多かった。『silent』(2022年/フジテレビ系)で演じた光は、紬(川口春奈)の6歳下の弟で、普段は姉に軽口を叩くが、実際はとても姉思い。そして、光の優しさは、湊斗(鈴鹿央士)も包み込んでいった。紬は想(目黒蓮)と再会したことで気持ちが揺れ動き、それまで付き合っていた湊斗と別れてしまうが、光は湊斗に懐いていたこともあり、その後も宅飲みをするなど仲良くしていた。湊斗に接する時の光は、弟のようなかわいらしい憎らしさを言葉尻に滲ませ、湊斗には気を遣わせなかった。きっと湊斗もそんな光の優しさに癒されていたことだろう。

『フェルマーの料理』“ガクマゴ”コンビとしても話題 高橋文哉と板垣李光人の思わぬ共通点

岳(高橋文哉)が海(志尊淳)から「K」の料理長を引き継いだ。いよいよ『フェルマーの料理』(TBS系)は、視聴者にとって最も気にな…

 『フェルマーの料理』(2023年/TBS系)では、岳(高橋文哉)と同世代のシェフ・孫六を演じた。普段は淡々と仕事をこなしている孫六だが、おいしいと思った料理は素直に「おいしい!」と嬉しそうに食べる。新参者の岳を変に邪険にすることもなかった。このように優しくて素直な心を持った人物がいると、その周辺が柔らかい雰囲気になる。

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