ビクトル・エリセが語る映画文化への想い 31年ぶり長編『瞳をとじて』を企画した経緯とは

ビクトル・エリセ、映画文化への想いを語る

ーー本作は映画についての話であり、ラストにも劇場のシーンがあるように、本作は「見る/見られる」関係性が中心となっています。そんな物語と正反対の形となる「瞳を閉じる」という言葉をタイトルに持ってきた理由を教えてください。

エリセ:瞳を閉じるのは、アナが『ミツバチのささやき』で、幽霊を呼ぶときにしていたことと同じです。ですが、ここで非常に重要なことを指摘しなければなりません。この映画の本来のタイトル『Cerrar los ojos(原題)』は、英訳が不可能だということ。スペイン語では、この映画のタイトルは「不定詞」という動詞の形をとっています。しかし、英訳ではこの形は存在しない。だから必然的に命令形になってしまい、命令や指図だと思われてしまいますが、スペイン語タイトルの原義に命令の意図はありません。

『瞳をとじて』

ーー映画の中には、多くの名作映画への言及やタイトルが登場します。ミゲルがギターで弾き語りをする『リオ・ブラボー』や、マックスの部屋の『夜の人々』のポスター、ミハエル・ワッチンスキの名前など。あなたの創作に影響を与えた作品はなんでしょうか?

エリセ:複数ありますが、名作映画への言及は計画的なものではなく、無意識に行ったものです。

ーーまた、この数年、映画史に名を残している監督たちも「映画/映画館」についての作品を数多く手掛けています。同世代の作家たちの活動をどのように見ていますか?

エリセ:映画という文化の黄昏の表現として見ています。

『瞳をとじて』

ーー日本にはあなたの映画を観て育った映画ファンがたくさんいます。

エリセ:できれば、この映画は映画館で観てほしい。日本の人々が関心を持ってくれることに、とても感謝しています。

■公開情報
『瞳をとじて』
TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント
配給:ギャガ
2023年/スペイン/カラー/ビスタ/4K/5.1chデジタル/169分/字幕翻訳:原田りえ/原題:Cerrar los ojos/英題:Close your Eyes
©2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.
公式サイト:gaga.ne.jp/close-your-eyes
公式X(旧Twitter):@closeyoureyes_g

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