『ブギウギ』趣里に道標を与える草彅剛の存在 重要な意味を持つ“自分自身と向き合うこと”

『ブギウギ』趣里に道標を与える草彅剛の存在

 タナケンとの稽古で思う存分自分らしさを見せたスズ子は「面白い」とタナケンをうならせた。スズ子の個性溢れる芝居でこうして結果が出せたことを考えると、やはり善一の、“スズ子の本質を理解したアプローチ”は他の指導者とは一線を画しているように感じる。伸び伸びとした「面白さ」を素直に追求し、スズ子にそっと道標を与えていく。そんな善一の存在感に、改めて唸らされた。

 加えて、今週も善一を演じる草彅の芝居は『ブギウギ』の世界観をより奥深いものとする。スズ子がハキハキしたキャラクターであることが顕著に描かれた第16週の中で、善一はいつでもニュートラルで自分のペースを崩さない。自分が推薦したスズ子がタナケンから気に入られようが、なかろうか、深く気にする様子さえない。こうした善一のマイペースさをここまで魅力たっぷりに表現できるのは、やはり草彅の“個性”に他ならないだろう。草彅の芝居は、ブレない善一らしさを一本軸として持ちながら、第15週のような感情表現の必要な場面でも心を揺さぶってくる。こうした芯の通った芝居こそが、草彅の魅力なのだ。それでいて徹底した役づくりの中にも、暖かく穏やかな“草彅らしさ”が感じられる。善一が生き生きとしたキャラクターに映るのも、草彅の表現が視聴者の心をしっかりと掴んでいるからに他ならない。

 タナケンとの熱い芝居がお茶の間を賑わせた第16週では、善一とスズ子の師弟関係もかけがえのない輝きを放っていた。スズ子の活躍の裏で、スズ子を導き続ける善一の存在が、今後も楽しみだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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