『コンクリート・ユートピア』は身近な人と共有したい一作 イ・ビョンホンの怪演に脱帽
そして、韓国映画ならではの“兵役経験のある男性”たちがいる舞台設定も印象的だった。作中においても、一般住民よりも“兵役経験のある男性”が優遇されていたり、力を持つ男性たちの結束力の陰には、兵役経験が関係しているように見えた。おそらく、舞台が日本だったらここまでの結束力は発揮していなかった(できなかった)だろう。
加えて、VFXやメイク、衣装の細部にもこだわりが感じられた。本作は、“韓国のアカデミー賞”とも呼ばれる第59回大鐘映画祭において、作品賞をはじめ、イ・ビョンホンが自身4度目となる主演男優賞を、婦人会会長役として存在感を放っていたキム・ソニョンは助演女優賞を受賞している。そのほか、美術賞、視覚効果賞、音響効果賞を受賞しており、映像としてもかなり見応えのある作品であることがわかる。
監督を務めたオム・テファは、インタビューで「大災害の中でマンションが1つ残ったという設定を納得させる映像を作ることが大事でした。難しかったです」と本作へのこだわりを語っている。(※)また、3階建てのマンションと同じ規模のセットを約5カ月掛けて作ったという話も明かしている。本作をこれから観るという方は、ぜひリアリティを重視した完成度の高い世界観を大きなスクリーンで楽しんでいただきたい。
また、可能であれば、本作を誰かと一緒に観てみるのもいいかもしれない。没入感に浸れる作品であるため「もし同じ状況に陥ったらどうするのか」「自分だったら何を優先するのか」と、身近の人と価値観を共有しておくこともできるだろう。
参照
※https://www.youtube.com/watch?v=0FUKk4YNqCg&t=1s
■公開情報
『コンクリート・ユートピア』
全国公開中
監督:オム・テファ
出演:イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン
配給:クロックワークス
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公式サイト:https://klockworx-asia.com/CU/
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