『いちばんすきな花』田中麗奈の芯を感じさせる佇まい 美鳥が優しさの中に秘める強い意志

『いちばんすきな花』田中麗奈の強い意志 

 演じている田中は、高校在学中にサントリーのジュース「なっちゃん」のCMの初代キャラクターで人気を集めた。しばらくドラマや映画出演がない時期も続いたが、2006年公開の映画『暗いところで待ち合わせ』で孤独な盲目女性・ミチル役を演じたこと、さらに2007年には広島原爆をテーマとする映画『夕凪の街 桜の国』に強く希望して出演したことをきっかけに、社会性の強い作品に多数出演するようになる。

 最近では、映画『福田村事件』(2023年)で井浦新と共に主演を務めている。この映画は1923年、関東大震災の混乱の中で実際に起こった、千葉県の福田村で香川県からの薬の行商団15名が地元の自警団に暴行され、9名が殺害された事件「福田村事件」を題材としている。田中が演じた静子は、夫とともに朝鮮から帰国し、夫の故郷である福田村で暮らし始めたが、もともと裕福な家庭で育ったため、いつも高級そうな服に身を包み、優雅な喋り方をして、田舎の農村では少し浮いた存在だった。だが、ある意味でその村の雰囲気に染まっていない分、周りに流されることなく、意見を主張できる存在に。行商団を朝鮮人と思いこみ、虐殺しようと暴走する村人たちに勇敢に異を唱えていく。穏やかな雰囲気がありつつも芯を感じさせる凛とした佇まいを持った田中だからこそできる、説得力のあるキャラクターだった。

 この温かい優しさの中に強い意志を秘めている様子は、久しぶりに東京に戻ってきたという美鳥にも感じられる。美鳥は東京でなにかやりたいことがあるのだろうか。美鳥にまだ対面できていない紅葉(神尾楓珠)は美鳥に会うために椿がいる家までやってきたという経緯もあり、お互いに深い思い入れがありそうだ。紅葉の気持ちを考えれば、美鳥にすぐにでも会って、溜めに溜めた思いの丈を話してほしいと思うのだが、なかなかそうすんなりいかないのかもしれない。美鳥を含めた5人の今後の展開と関係性の変化が気になるところだ。

■放送情報
木曜劇場『いちばんすきな花』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:多部未華子、松下洸平、神尾楓珠、今田美桜、齋藤飛鳥、一ノ瀬颯、白鳥玉季、黒川想矢、田辺桃子、泉澤祐希、臼田あさ美、仲野太賀ほか
脚本:生方美久
プロデュース:村瀬健
演出:髙野舞
音楽:得田真裕
主題歌:藤井風「花」(HEHN RECORDS / UNIVERSAL SIGMA)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ichibansukina_hana/
公式X(旧Twitter):@sukihana_fujitv
公式Instagram:@sukihana_fujitv

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