『たとえあなたを忘れても』美璃と空が“現実世界の厳しさ”に直面 ラストは“どん底”の展開に

『あな忘』が描く現実世界の厳しさ

 第7話の後半では、記憶を取り戻した空が“忘れること”の意味について考えを巡らせていく。そのきっかけとなった出来事が、美璃の母・ゆかり(加藤貴子)の来訪だ。サプライズでサンタのコスプレをした保と茜(畑芽育)が混ざり、5人で美璃の誕生日を祝う展開になったところまではよかったのだが……。保を気に入っているゆかりが、美璃と保の結婚話を持ち出し始めたことで、場の空気は険悪に。「保の火傷」が幼い美璃を庇ったことに起因していたと明らかになったことで、空は少なからずショックを受けているようだった。

 そしてそれは空だけでなく、保に告白の返事を求めた茜も同じだった。記憶を失っている2人は、“忘れた”記憶がどれだけ自分のパーソナリティと地続きになっているのかを知っている。“忘れたからといって、事実がなくなったわけではない”という空と美璃を繋いできた気持ちが、今度は空をじわじわと苦しめていく。救いの言葉が、ときに呪いの言葉にもなろうとはあまりにも残酷な展開だ。

 しかし、今回の『あな忘』の「どん底」はまだここではない。語るべきは、最後の美璃と空のやりとりだろう。いつものようにキッチンカーを訪れた美璃は、空に明るく挨拶をする。ところが、そこにいたのはいつもの空ではなかった。

「おはようございます」「何にしますか?」

 淡々と、面識のない客に向かって話すかのような空。予告が流れる前に、ほとんどの視聴者は確信したはずだ。それもそのはず、空は記憶がないときの「あの目」をしていたのだから。次週、美璃はそれでも、自分の“好き”をまだ追い求めることができるのだろうか。

■放送情報
『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TELASA、U-NEXTにて、見放題配信
TVerにて、放送終了後見逃し配信
出演:堀田真由、萩原利久、風間俊介、岡田結実、畑芽育、松井玲奈、森香澄、丸山智己、須藤理彩、加藤貴子、檀れい
脚本:浅野妙子
プロデューサー:清水一幸、辻知奈美、髙石明彦(The icon)、高橋香奈実(The icon)
演出:大谷健太郎、髙石明彦
音楽:平野真奈、福廣秀一朗
主題歌:由薫「Crystals」(Polydor Records)
制作協力:The icon
制作著作:ABCテレビ
©️ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/anawasu/
公式X(旧Twitter):@anawasu_abc
公式Instagram:@anawasu_abc
公式TikTok:@anawasu_abc
公式LINE: @abc_drama

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