羽谷勝太、『下剋上球児』星葉高校エースとしての覚悟 鈴木亮平も感心したリサーチ力

『下剋上球児』羽谷勝太インタビュー

 次代のスター候補生たちが揃うTBS日曜劇場『下剋上球児』。役者としての演技はもちろん、甲子園を目指す越山高校野球部として説得力をもったプレーを見せなくてはいけない球児たち。本気のオーディションを経て選ばれた彼らはどんな思いで撮影に臨んでいるのか。放送に合わせて球児たちへ連続インタビュー。第7回は、犬塚翔(中沢元紀)のライバルである星葉高校のエース・児玉拓海役の羽谷勝太。

鈴木亮平も驚いた羽谷勝太のリサーチ力

――これまで撮影に参加されてきた感想を聞かせてください。

羽谷勝太(以下、羽谷):僕自身、初ドラマなので「どんな感じの現場なのかな」とドキドキもワクワクもあったんですけど、同世代の方が多いのですぐに盛り上がるし、スタッフの方々もチームとして一体感があって。撮影に行くというよりは、高校時代の部活に行っている感じで毎日すごく楽しませてもらっています。鈴木亮平さんをはじめ、すごい俳優さんたちがいっぱいいるので、ずっと観察しながら勉強していますね。

――現場では、鈴木さんとお話しされましたか?

羽谷:お話ししました。僕が一番の目標にしている俳優さんが鈴木亮平さんで、まさか初ドラマでご一緒できるなんて思っていなかったので、本当に光栄です。お芝居のことを質問したら、役者としてのあり方や役作りをするための考え方など、本当に細かくたくさん教えてもらえて、すごく貴重な時間を過ごせました。撮影の合間にはノックを打ってくれたり、キャッチボールをしたり、「ホームラン競争やるぞ」と声をかけてくれたり。あとは手押し相撲をして遊びました。結構バチッと手が当たったんですけど、まったく動かないんですよ。亮平さん、めっちゃ強いです。

――今回はオーディションに参加されて、一度は落選した後に出演が決まりました。そのときの心境はいかがでしたか?

羽谷:メインキャストから落ちたと知ったときは、正直めちゃくちゃショックでした。でも、すぐにそんな甘いもんじゃないなって切り替えるようにしたんです。そんな中、ライバル校のエース役という重役を任せてもらえるなんて本当に光栄で、主人公でもメインキャストでもないけれど、「自分は主人公」と思いながら撮影に取り組めました。

――星葉高校の監督役の松平健さんをはじめ、共演者の方とのエピソードも教えてください。

羽谷:松平さんとは、まだしっかりとお話しできていなくて、演技に対する姿勢をずっと観察して、勉強させてもらっている感じです。江戸川役の(清谷)春瑠くんとは基本的に一緒にいるので、全然盛り上がらない会話を延々と続けています(笑)。僕と話すことにも、演技することにもめちゃくちゃ全力で、本当にかわいい子です。

――犬塚翔役の中沢元紀さんの印象は?

羽谷:元紀くん、本当に犬塚翔なんです。作品の中でもちょっと繊細な部分があると思うんですが、本人はとにかく優しさがにじみ出ているような人で。同じシーンをやらせてもらったときには全然演じている感がなくて、本当にプライベートで話しているような感覚でセリフが返ってくるし、ぶつけてくれるので、すごくやりやすくて、僕は本当に好きです。翔くん、いい子です(笑)。

――今回は役作りにあたって、かなりビジュアルも変えられたと思います。

羽谷:わかりやすいのは髪型ですが、自分の中で一番意識したのは体作りです。強豪校のピッチャーって、体がすごくゴツいんですね。僕もそんなに細い方ではないですけど、“高校球児のエース”となると見劣りする部分があるので、1からトレーニングをして、1カ月半で胸囲を10cm増やしました。あとはピッチングですね。僕はもともとピッチャーじゃないので、大学時代のエースにお願いして、LINEで僕のフォームを送って、「もうちょいこうした方がいいよ」とか、毎日やり取りをして修正していきました。

――体作りは、役が決まってからずっと続けている?

羽谷:そうですね。でもまだまだなので、3年生にかけて最後に完成できたらいいかな、という感じです。

――演じる児玉拓海は犬塚翔のライバルではありますが、お互いに認め合っているところもあるように見えます。そのあたりの役作りについて聞かせてください。

羽谷:僕も台本を読んだときに、よくドラマで観るようなバチバチのライバル関係ではないのかなと思ったので、役づくりノートを作って、中学時代に同じチームで過ごしていた3人(翔、児玉、江戸川)の思い出をいっぱい空想しました。3人で練習したときはこんな雰囲気だったとか、試合の帰りにコンビニでアイスを食べたとか、温泉に行ったとか。一緒に遊んだストーリーを作って、「決して翔が嫌いじゃない」と自分の中に植え付けました。「翔が嫌いだ」と思って演じたら、バチバチのライバルになっちゃうなと思ったので、愛情を持って接しました。でも、根本にあるのは児玉の性格ですね。相手の気持ちを思って発言や行動ができる子なので、そこを根底に置いて役作りをしました。

――最初にもらった資料に、役設定が細かく書かれていたと思います。とくに役作りに活かしたものはありますか?

羽谷:趣味に「野球カード集め」と書いてあって、それが僕の中でちょっとしたヒントになりました。“野球カードを愛している人には相手をひがむような人はいないんじゃないか”と勝手な偏見があったんです(笑)。役作りノートには、野球カードにまつわる思い出も書いてあります。

――ぜひ聞かせてください。

羽谷:僕の空想の中では、児玉はおそらく野球カードを集めたファイルがあるんですけど、お気に入りのピッチャーのカードを翔や江戸川に見せつけたときに、そのカードを傷つけられそうになって「やめろ! やめろ!」みたいな。あとはコンビニで野球カードのパックを買って、一緒に開封するとか。恥ずかしいので、あまり掘り下げないでください(笑)。

――(笑)。でも役作りノート、すごく面白いですね。

羽谷:児玉が住んでいる家の見取り図とかも勝手に想像しました(笑)。住宅街なのか、家から三重の海が見えるのか、とか。一軒家の駐車場にバッティングネットがあって、そこでバッティングをしたり、お父さんがすごく厳しい人だとプロフィールに書かれていたので、練習から帰ってきた後もお父さんが練習を手伝ってくれる、とか。(実際のノートを見せながら)こういう感じで、バーッと書いています。

――すごく素敵な役作りですね。

羽谷:ありがとうございます。あとは自分の中で、今後もずっと続けていきたいと思うことが一つあって。僕、この撮影が始まる前に、作品の原案になった白山高校の東(拓司)監督にアポを取って取材に行ったんです。当時の野球部の雰囲気だったり、チームのことをいろいろと聞かせてもらって、すごく役作りの参考になりました。そのとき、(三重大会の)決勝で当たった松阪商業の冨山(悦敬)監督もたまたまいらっしゃったので、冨山監督からもいっぱい話を聞いて。情報収集は大事だなと感じたので、今後もやっていきたいなと思っています。

――ちなみに、共演者の方にその話はされましたか?

羽谷:自分からはしなかったんですけど、東監督が1回現場に来られたときに、亮平さんに「この子、俺のとこに直接取材に来て、役作りに熱心な子やねん」と紹介してくれたんです。一番目標にしている俳優さんに知ってもらえてめちゃくちゃ嬉しかったです。

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