『呪術廻戦』釘崎野薔薇が貫く生き様 魂に関与する術式と彼女の“人生の席”

『呪術廻戦』釘崎野薔薇にとっての“席”

 アニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」でおそらく最もショッキングな場面が描かれた第42話。宿儺のせいで大量殺人を犯してしまった虎杖悠仁は、目の前で慕っていた七海建人を真人に惨殺された。アニメオリジナルで交互に描かれた、七海がマレーシアで伸び伸びとする姿と、半身やけどを負った状態で多くの改造人間と戦う姿は、痛々しさとやるせなさを一層引き立てた。「呪術師はクソだ」と言いながらも自分のやるべきことを再確認し、再びその世界に戻ってきた七海がこんな死に方をするなんて、彼の言葉を借りると“呪術師(でいること)はクソだ”としか思えない。

 虎杖が七海を喪った悲しみに浸る余韻もないまま、真人との戦闘が始まる。しかしこの後に及んで真人は“さらに”虎杖の魂を折ることに固執していた。その方法が釘崎野薔薇に遭遇した自分の分身に彼女を殺させ、その死体を虎杖の目前に晒すことだという。心底、最低なやつだ。こうして虎杖と真人戦の背後で始まった、釘崎と真人の戦い。しかし釘崎の術式を考えてみるとこの組み合わせは案外悪くないのだ。

 釘崎の術式「芻霊(すうれい)呪法」は第1期でも描かれたように、五寸釘と金槌、藁人形などを使った技を繰り出す。技は主に二つあって、釘に呪力を込めて相手に発射して攻撃する「簪(かんざし)」と、対象の欠損した一部に“人形(ひとがた)”を通して呪力を打ち込むことで本体にダメージを与える「共鳴り」だ。第42話ですでに釘崎は「簪」を真人に仕掛けているが、通常の呪力攻撃は効かないため真人は余裕の様子。どちらかというと、姉妹校対抗編でも「簪」は直接攻撃だけでなく、目眩しのような役割も担ってきた。

 しかし、本体の“分身”である彼が「共鳴り」をくらえばどんなことが起きるのか。それは八十八橋で繰り広げられた壊相との戦いを振り返れば想像がつく。あの時、壊相の血を体内に取り組んでしまった釘崎は逆にそれを利用して、自身の体に「共鳴り」を打ち付けることで、血の所有所である壊相にダメージを与えていた。「共鳴り」は術式範囲の制限が緩く、対象との実力差、欠損部位の希少価値によって効果が変わる。真人の分身という“ひとがた”を通して呪力を打ち込む「共鳴り」が果たして、本体にどれほどのダメージを与えられるのか今から楽しみである。

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