『呪術廻戦』釘崎野薔薇が貫く生き様 魂に関与する術式と彼女の“人生の席”
壊相との“我慢比べ”を振り返ってみても、釘崎は心底強くてカッコいいキャラクターであることが再確認できる。彼女は元々東北の田舎町の出身で、自分の村に東京から来た沙織ちゃんが村八分を受けて引っ越してしまった過去を引きずっている。それが彼女の村社会に対する抵抗感の表れでもあったが、実はもっと前から村社会に対する嫌悪感を抱いているように感じるのだ。それというのも、釘崎は東北の村で生まれ育ったのに言葉が訛っていない。公式ガイドブックにはこの理由について「(釘崎の)母が訛っていないから」と記述されていた。つまり、釘崎の母親は標準語を使う地域(よそ)から村に嫁いだことが考えられる。
よそ者をあれだけ嫌う村なので、もしかしたら沙織ちゃんが体験したようなことを母親が体験したかもしれないのだ。そしてそれを幼少期から見たり、感じていたりしたのであれば釘崎があれだけ自分を押し殺して暮らし続けなければいけない村から出たがっていたこと、“私が私であるため”に生きることをモットーに掲げていたのか理解できるのだ。
釘崎は従来の少年漫画のヒロインのような存在ではなく、“釘崎野薔薇”として作品に存在感を残し続けてきた。男性優位の呪術界において、男がどうとか女がどうとか知ったこっちゃなく、ただキレイにオシャレをしている自分が大好きで、強くあろうとする自分が大好きだとかつて叫んだ釘崎。第1期の「共犯」では九相図を殺した罪悪感を抱える虎杖に対して、「私はぶっちゃけなんともない、術師やってりゃこういうこともあんでしょ」と強い姿勢を見せた。それと同時に、助けられる人間に限りがあることも虎杖に説く釘崎。
「私の人生の席っていうか……そこに座ってない人間に、私の心をどうこうされたくないのよね」
彼女は常に、自分の気持ちと人生の席に座る人間について考えてきた。その図を象徴するような絵が「渋谷事変」のオープニング映像にも映されている。椅子に取り囲まれる釘崎、彼女はそこで一体何を思うのだろうか。
■放送情報
TVアニメ『呪術廻戦』第2期
MBS/TBS系にて、毎週木曜23:56~放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、中村悠一、島﨑信長、櫻井孝宏、諏訪部順一、三瓶由布子
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史、小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
「渋谷事変」オープニングテーマ:King Gnu「SPECIALZ」(Sony Music Labels)
「渋谷事変」エンディングテーマ:羊文学「more than words」(F.C.L.S./Sony Music Labels)
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp