『怪物』『ファイ』などのヨ・ジング、天才子役から実力派俳優へ 観る物を魅了する演技力
時代劇から現代劇のバイオレンス、ラブストーリーまで、ジャンルレスの活躍ぶりを見せるヨ・ジング。近年では、イ・ビョンホン主演の大ヒット映画『王になった男』を2019年に同名ドラマとしてリメイクし、王と旅芸人だった影武者の両極端な性格の一人二役を演じ、その見事な演じ分けが絶賛された。
さらに同年、日本の同名漫画が原作のラブコメディ『絶対彼氏。』でGirl's Dayのミナを相手に理想の恋人用ロボット役を、続いて日本でも人気のIUを相手に『ホテルデルーナ』で死者が集う不思議なホテルで働くことになった人間の総支配人役を演じ、この1年ほぼ出ずっぱりで、立て続けにドラマがオンエアとなった。
そして2020年はペ・スジとナム・ジュヒョクのダブル主演ドラマ『スタートアップ:夢の扉』で“AIスピーカー・ヨンシル”の声を担当し(すごくいい声で、いわゆる“イケボ”でもあるヨ・ジングだとすぐわかったという人は少なくない)、最終話にもスタートアップ企業の代表役として特別出演。
2021年は、誰もが釘付けになった傑作サスペンサス『怪物』でエリート警部補役を演じ、ドラマは第57回百想芸術大賞作品賞と脚本賞、そしてヨ・ジングとともにダブル主演を務めたシン・ハギュンが男性最優秀演技賞に輝いたのは周知の通りだ。オープニングから不気味な空気を漂わせる『怪物』は、20年前に妹を殺した容疑者として逮捕された過去のある、地方の派出所巡査部長イ・ドンシク(シン・ハギュン)と、ソウルから来たエリート警部補のハン・ジュウォン(ヨ・ジング)がバディを組む。お互いに秘密を抱え、腹の探り合いをし、衝突しながらも、連続殺人事件を捜査していく。一癖も二癖もある人物が彼らを取り巻き、閉鎖的な田舎町の闇や事件の謎が解き明かされていくにつれて「まさか!」と息を呑むばかり。スリリングな心理合戦もさることながら、複雑な心情を見事に昇華したヨ・ジング、そして「演技の神」ともいわれるシン・ハギュンの度肝を抜く演技は見逃せない。
2022年は、ファンタジーロマンス『LINK:ふたりのシンパシー』で、ともに子役としてキャリアを築いてきているムン・ガヨンと12年ぶりに共演し、感情を共有する男女の恋と、ある事件の謎が絡み合うストーリーで観る物を魅了した。
ヨ・ジングは、向かうところ敵なしの演技力で、これからもさまざまなストーリーの住人となって、また私たちを驚かせてくれるに違いない。その日を楽しみに待ちたいと思う。