『ゼイチョー』百目鬼の憧れの人が徴税吏員を辞めた理由 全ての鍵を握る徴税禁止リスト

『ゼイチョー』羽生が徴税吏員を辞めた理由

 『ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜』(日本テレビ系)第7話で取り上げられたのは「還付金の誤送金」。現実にもコロナ禍で同様の事件が起こったのが記憶に新しい。

 本作でも還付金1,000万円の振り込みミスに対し、振込先の住民は返金拒否。しかも、その誤送金先は百目鬼(山田杏奈)にとっての憧れの人で元徴税吏員の羽生詩織(市川由衣)だった。百目鬼の母親の家宅捜索を担当し、幼い彼女に親身になってくれた羽生は、市役所を退職した今、亡き父親が経営していた学習塾を引き受け1人で運営している。

 羽生が提示した還付金返金の条件は、市長・米田(佐戸井けん太)との面会だった。百目鬼はあまりに唐突な予期せぬ憧れの人物との再会に戸惑うも、あんなにも正義感の強い羽生が悪びれる様子もなく還付金振り込みミスについて交換条件を出すということには、それ相応の理由があるのだろうと直感する。

 そこで明かされたのが「徴税禁止リスト」の存在で、これこそがみゆきの市の闇だった。特定の滞納者には徴税を課さない不当に優遇されている者のリストの作成を、羽生は米田から任されていたのだ。しかも羽生の父親が塾の運営難のために税金を滞納していることを持ち出し、彼女が断ることができない状況下で。彼女の責任感の強さを逆手にとって利用する上層部の様子がリアルだ。

 さらには、この「徴税禁止リスト」に名を連ねていたのは副市長・相楽(本郷奏多)の父親(板尾創路)が代表を務める相楽グループの関係者たちの名前だったこともわかる。見事なまでの“ズブズブ”の関係に呆れてものも言えないが、昨今の報道を見るにつけこれがドラマ内でのフィクションだとは到底言いきれず、むしろ現実をよく反映している事態であることにまた頭を抱えてしまう。つい最近も税金の滞納を繰り返していた財務副大臣が辞任したばかりだ。本作で出てくる「みんなで出し合ってみんなで助け合う」という税金のそもそもの原理原則が空しく響いてしまうような現実があることを否めない。

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