朝ドラ『ブギウギ』になぜ世界的な演出家が? 宮本亞門が担う特別で重要な役どころ
演出家が他者の作品に出演するのは、別に珍しいわけではない。俳優としてキャリアをスタートさせた故・蜷川幸雄は後年は演出家に専念していたとはいえかなりの出演作があるし、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)の脚本を手がけた三谷幸喜は、同じくNHK大河ドラマである『功名が辻』(2006年)や『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)などに出演している。
80年代の“小劇場ブーム”を牽引した鴻上尚史は『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』(2014年)などの出演作があり、「阿佐ヶ谷スパイダース」の主宰でKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務める長塚圭史は、故・大林宣彦監督の『花筐/HANAGATAMI』(2017年)や『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(2020年)などに出演。誰もが各作品における重要な、あるいは特別な役どころを担っている。
『鎌倉殿の13人』とは何だったのか “死”にドラマを見出した三谷幸喜の構成力
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が終わった。私たちはいまなお余韻に浸り続けている。従来の大河ドラマでは定番だった英雄たちの胸の…
そう、つまりは肩書きが「演出家」である彼らが俳優として何かの作品に出演するのには、それ相応の理由があるわけだ。それは宮本ももちろん同じだ。
本作の公式ガイド『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)において彼は、「演出家になってから、演じることは極力避けてきました」と自身のスタンスを示したうえで、「でも僕は、国民に明るさと元気を届けた笠置シヅ子さんの大ファンなので、番組の応援団としてカメラの前に立ちました。初めて尽くしの経験は、吐きそうなくらい緊張し、この先演技指導は出来なくなるかもと硬直してしまいましたが、周りの皆さんのおかげでリラックスできました」と述べている。やはり彼の『ブギウギ』への出演には、特別な理由があったわけだ。
“宮本亞門=藤村薫”がどんな破天荒ぶりと天才ふりを見せるのか、いまのところは不明。ただ、彼は作曲家の羽鳥からの依頼を受け、スズ子の新曲の作詞をするらしい。間違いなく特別で、重要な役どころだ。演出家としての目を持つ宮本は、これをどう体現していくのだろうか。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK