『エコー』はこれまでのMCUとは違う過激なドラマに? デアデビル&キングピンも登場

『エコー』は過激な大人向けドラマに?

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は、先日予告編が公開されたマーベルのドラマシリーズ『エコー』の予告編解説です。

マーベル・スタジオ『エコー』|予告編|Disney+(ディズニープラス)

 まずこの予告編を観て改めて感心するのは、マーベルとMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の懐の深さです。あとで詳しく説明しますが、『エコー』は、ニューヨークを舞台にしたクライムアクションになります。

 MCUは11月10日に『ロキ』シーズン2の最終回が配信され、劇場では『マーベルズ』が公開されます。前者は全ユニバースの存亡をかけたマルチバース話、後者は宇宙をかけめぐる冒険活劇ですが、つまり多元宇宙や銀河の世界を描いたこれらの壮大な物語と大都会の裏社会のお話が同じレベルで語られるのがMCUなんです。

 そして、この『エコー』の予告編(北米版予告編)で一番注目してほしいのは、最後に出るTV-MAという文字なんですが、これはTVドラマや配信番組の視聴レイティングで映画でいうとR指定。番組が成人=成熟した大人(MA)向けであることを示しています。

 つまり、それだけバイオレンスな内容なんですね。アメリカではディズニープラスだけではなくHuluでも配信しますから、過激な大人のドラマを目指しているわけです。

 さらにこの『エコー』はMCUでありながら、さらにマーベル・スポットライトというブランド(くくり)で展開されるドラマの第1弾と発表されました。基本MCUでは映画やドラマが繋がって一つの大きなサーガを構成しますが、今後、このマーベル・スポットライトのブランドで発表される作品は、独立したコンテンツとして(要は他のMCU作品との絡みを気にすることなく)楽しめるというものです。いろいろな意味で異例、そしてMCUの新たな挑戦と言えるでしょう。

 では、『エコー』はどのようなドラマになるのか。コミックの設定では、エコーの本名はマヤ・ロペス。ネイティブ・アメリカンの女性で、生まれつき聴覚障害がありますが、見ただけで相手の動きを完コピできる才能を持っており、それ故、相手の戦闘術をすぐに取り入れて戦うことができます。まさにエコー(反響、こだま、おうむ返し)なのです。さらにその後、超常的な力も手に入れます。

 彼女はキングピンことウィルソン・フィスクというニューヨークの裏世界のボスに育てられます。キングピンとはこの場合、犯罪王みたいな意味です。しかしキングピンが父の仇と知り、キングピンと戦う盲目のヒーロー、デアデビルと共闘するようになります。基本このドラマはコミックのエコーの設定を活かしているのですが、予告編の中で彼女が義足をつけているのがわかりますよね? これはドラマのオリジナル設定です。実はエコーを実写ドラマに登場させるにあたって、マーベルは実生活でも「聴覚障害」で「ネイティブ・アメリカン」の女性を探して抜擢したのです。こうして選ばれたのが、それまで演技経験のないアラクア・コックスという女性でした。そしてアラクア・コックスは義足の女性でした。だから、マーベルはコックスの演じるエコーを今度は義肢の設定にしたのです。

 エコーがMCUデビューしたのは、ドラマシリーズ『ホークアイ』です。『ホークアイ』で、エコーはキングピンの庇護のもとジャージ・マフィア(トラックスーツ・マフィア)を率いる女性リーダーでした。彼女はキングピンを“おじさん”と呼んで慕っています。キングピンは少女の頃から彼女の面倒を見ていたのです。エコーは、父の仇であるホークアイを狙っていました。しかし父の死が実はキングピンによって仕組まれたものであると知り、最後はキングピンに銃口を向けます。そして銃声。今回のドラマでは、その後エコーがどうなったかが描かれます。

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