永山瑛太に聞く、役者という仕事に対する思い 「台本があるからこそ生きていられる」
王道のラブコメ要素やSF設定、ヨーロッパ企画の上田誠による伏線が張り巡らされたストーリー展開が好評を博し、ドラマファンの間では今期No.1の呼び声も高い『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)。主演の吉岡里帆と共に本作の柱となっているのが、未来からやってきたタイムパトロール隊員・井浦翔役の永山瑛太だ。俳優デビューから20年以上、数々の映画やドラマに出演し、主演の経験も豊富な永山だが、『時をかけるな、恋人たち』では初回放送前に全てを撮り切るという初めての経験をしたそうだ。そんな永山に、撮影終了間近のタイミングでインタビューを行い、ドラマ初共演となった吉岡の印象や役者という仕事に対する思いについて話を聞いた。
『トキコイ』はいままでにないような大スペクタクル
ーーまもなく撮影を終える現在の心境はいかがでしょうか?
永山瑛太(以下、永山):連続ドラマって、たいてい第1話の放送タイミングでは既に第2話、第3話くらいまで撮り終わっていることが多いんです。なので、第1話のオンエアを観ることによって、これから撮る第4話以降の自分の芝居や温度感を修正できたりする。それが演者として、連続ドラマをやることの面白さの一つだと思っていて。客観性は監督に任せながらも、やっぱりどこか自分で演出している部分があるんですよね。そういう意味で、今回の『時をかけるな、恋人たち』は第1話が放送される頃にはもう全て撮り終えてしまっているので、そのドキドキ感はありますよね。完成した映像はチェックしていないですし、未来人を演じる上で、ト書きをほぼ無視して、かなり自由にやらせていただいているので、だんだん怖くなってきたというか、ちょっと不安な気持ちも芽生えてきました。
ーー実際どうなっているのかは演じている身としてもわからないと。
永山:たとえば、自分の芝居によって現場で笑いが起きるとするじゃないですか。ただ、それが映像になったときに、作品にとって効果的な芝居だったかどうかは自分ではわからないんですよね。そこはもう監督を絶対的に信頼してやっているところではあるんですけど。
ーー数々の連続ドラマに出演されている瑛太さんにとっても今回の進め方は珍しいケースなんですか?
永山:全部撮り終わってから放送を迎えるのは初めての経験です。でも改めて考えてみると、従来のやり方だと、どうしても計算の芝居になってしまうんですよね。「こう映るからこうで……」みたいな思考が働くので、倍疲れるというか。逆に今回は、思いっきり突っ走っていけた感じはありましたね。とはいえ、アドリブとしてプラスでやったことの答え合わせみたいな作業はしなければいけませんでしたが(笑)。そういうところも楽しんでいた感覚はありました。
ーー台本を読ませていただきましたが、かなり細かく伏線が張られていますよね。
永山:途中までは1話完結のような見え方にもなっているんですけど、第1話から最終話まで、約300分のひとつの作品なんですよね。実際、第1話から回収しなければいけないことは全部繋がっているので、そういう細かいギミックみたいなところも皆さんにちゃんと伝わるのかなって。本当にいままでにないような大スペクタクルですよ。
ーー細かいところまで注視していればいろんな仕掛けに気づくことができると。
永山:ドラマ好きの方、映像オタクの方、あとはヨーロッパ企画のファンの方は特に、画面の隅々まで注視して、見落とさないようにしていただきたいです。一方で、小学生が観てもわかるようなコント的な要素だったりラブコメ要素もあるので、普通に楽しめるところもあって。1話30分という短さもいいですよね。
ーーそこが通常の連続ドラマとは大きく異なるポイントではありますよね。30分とは思えないスケールの大きさではありますが。
永山:正直、作品作りとしてはすごく大変なところもあって。でも、スタッフに若い人が多いんです。だから大学の映画研究会みたいな感じで、みんなで作っていく感覚がすごくありました。俳優はもちろん、スタッフさんも含めてみんなで意見を言い合いながら、時空を超える作品を作っていくという、いままでになかったような経験をさせていただいています。