朝ドラ『ブギウギ』三林京子は“朝ドラのグランマ”だ 趣里は何を継承され成長するのか

『ブギウギ』三林京子は朝ドラのグランマ”だ

 本作の公式ガイドである『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)にて三林は、「朝ドラ出演9作目(!) は『ブギウギ』で、大好きな趣里ちゃんとご一緒出来て、ほんまにうれしく思てます。思った以上に小柄なのに、撮影ですごい声で叫ぶシーンがあって、驚くと同時に『あ、笠置シヅ子が乗り移った?』と感じて、放送が楽しみになりました」と述べている。主演(=ヒロイン)を務める趣里に対する先輩俳優からのあたたかな眼差しが感じられる発言内容ではないだろうか。スズ子の祖母役としてだけでなく、三林は俳優としても趣里を見守る立場にあるのだ。

 そしてこの発言の注目ポイントはやはり「朝ドラ出演9作目(!)」というところだろう。そうなのだ。『いちばん太鼓』(1985年度後期)にはじまり、『ぴあの』(1994年)、『ふたりっ子』(1996年度後期)、『オードリー』(2000年度後期)、『ファイト』(2005年)、『だんだん』(2008年度後期)、『カーネーション』(2011年度後期)、『スカーレット』(2019年度後期)、そして今作『ブギウギ』と、“昭和”、“平成”、“令和”の三時代、三林は朝ドラに出演し続けてきた。役名のあるポジションでの朝ドラ出演は彼女が最多らしい。『ブギウギ』のみならず、朝ドラそのものにおけるグランドマザー(=祖母)なのである。

 近年の作品ということもあり、『スカーレット』で演じていた大久保のぶ子役の好演が記憶に新しい。大久保はヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)が女中として働く「荒木荘」のベテラン女中であり、最初のうちは喜美子に厳しい態度を取っていたものの、やがて二人は師弟関係を築いていった。この過程には胸を高鳴らせたものである。

『スカーレット』戸田恵梨香のストレス発散が面白い 台詞の繰り返しで生まれる楽しげなテンポ感

荒木荘に来て1カ月、喜美子(戸田恵梨香)は女中としての仕事も板につき始めた。NHK連続テレビ小説『スカーレット』第17話では、喜…

 もちろん、彼女の活動領域は朝ドラだけではない。幼い頃より伝統芸能に慣れ親しみ、戦前から大活躍した山田五十鈴に師事し、俳優としてのキャリアをスタートさせた存在だ。これまでに相当な数の舞台に立ってきた人物であり、古き時代を知りながら新しき時代の人々へとエンターテインメントを届ける、いわば芸能の世界のレジェンドだといえるだろう。

 トシは肝が据わっていて、さまざまなことを抱きしめられる器の大きな人物だ。複雑な心境のスズ子を、彼女はどのように抱きしめるのだろうか。そして、“芸能の世界のレジェンド”であり、“朝ドラのグランマ”である三林京子から趣里は何を継承するのかーー。それは今後のスズ子の姿に見て取れるに違いない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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