ペ・スジ、初恋のヒロインから孤高の存在へ ハマり役『イ・ドゥナ!』で見せる光と影
その後も、2013年のファンタジー時代劇ドラマ『九家の書 ~千年に一度の恋~』では、初の時代劇とアクションシーンに挑んだスジ。共演したイ・スンギとはこの6年後に『バガボンド』でも組んでいるが、『九家の書』でMBC演技大賞のベストカップル賞やミニシリーズ部門の最優秀演技賞なども受賞した。2016年には、実話が基となる伝統芸能のパンソリで女性初の歌い手を演じた映画『花、香る歌』で観客を魅了し、2017年にはイ・ジョンソクとのロマンチックなシーンが話題となった『あなたが眠っている間に』でSBS演技大賞の水木ドラマ部門で最優秀演技賞やベストカップル賞を受賞。
こうしてガールズグループ“miss A”に所属しながら、女優としても活動していたスジだったが、2017年12月に同グループは解散。ソロとして活動することとなったが、JYPエンターテインメントを離れて2019年4月から、コン・ユやチョン・ドヨン、ナム・ジュヒョクら実力派がそろうマネージメントSOOPへ移籍したことを発表した。
女優として集中できる環境となったスジは、夢を追う若き起業家たちの奮闘を描いた2020年のドラマ『スタートアップ:夢の扉』で、同事務所のナム・ジュヒョクとダブル主演し、Netflixでも配信された同作は日本をはじめ世界で注目を集める。2022年のPrime Videoで配信されたドラマ『アンナ』では、並外れた美貌と才能を持ちながらも貧困家庭に生まれたユミが、裕福で地位もある“アンナ”として嘘にまみれた人生を送ろうとする奇異な役に挑戦。あわれな女性の10代から30代までを見事に演じきったスジに、見入ってしまった。同作は監督が制作した全8話の『アンナ ディレクターズカット版』と、韓国の配信元が編集した全6話の『アンナ』の2種類があるが、全8話のほうが背景が丁寧だ。同作で、スジの新境地を垣間見た。
現在、29歳となったスジ。最新作『イ・ドゥナ!』では、“愛されるのが仕事”といわれるアイドルとして、ドゥナの“光と影”を見せているスジ。愛されるスターのドゥナのように、実際に筆者が韓国へ行った際もソウルの繁華街で何度もスジのポスターが掲げられているのを見たし、テレビでも度々、彼女が宣伝するCMを目にする機会があった。引っ張りだこのなか、20代で歌手から女優へと見事にシフトしたスジは、30代でどんな役を演じるのだろうか。高いポテンシャルを秘めるスジだからこそ、今後も女優としてのさらなる変化が楽しみでならない。
■配信情報
『イ・ドゥナ!』
Netflixにて独占配信中
Kim Seung-wan/Netflix © 2023