『ブギウギ』股野が告げた大和への思い 親心に揺れる大熊社長が下した決断
会社への抗議のためスズ子(趣里)たちが山寺にこもる一方で、橘(翼和希)の言葉に後押しされて決意を固めていたのが股野(森永悠希)。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第17話では、股野が勇気を持ってある告白を決意する。
歌劇団への入学を両親に反対され、一人で大阪に出てきた大和(蒼井優)。スズ子が花咲少女歌劇団ではなく、なぜ梅丸少女歌劇団(USK)を選んだのかと問いかけると、社長の大熊(升毅)の存在が大きかったと大和は明かす。裕福ではなく歌劇団を受験することができなかった大和に、無償で入団を許可したのが大熊だった。それは大和が親と縁を切ってでも歌とダンスをやりたいという思いが突き動かしたものだ。まだ子供だった大和にとって、自分とまっすぐに向き合ってくれる大人の存在は大きい。大熊の「これからはワシが親代わりや。絶対お前さんのことは見たる」という言葉は心強いものだったに違いない。そしてスズ子にとっても大和の存在はUSKで歌う生きがいになっていた。スズ子の「これからも見させてください」に対して、大和の「ありがとう」という言葉には優しさが滲んでいた。
橘のもとにUSKを辞めたいと股野がやってきた。大和への思いを中々口にすることができずにいた股野だったが、橘の言葉は心に刺さっていた。一大決心をした股野に対し「見直したわ」と笑みを見せる橘。その表情はどこか悲しげにも映る。それは自分では大和をどうすることもできなかったという悔しい気持ちから出た表情なのだろう。
意を決して大和たちがいる山寺へと向かった股野は、大和にUSKを辞めてオーケストラの道に進むことを伝える。股野の気持ちに気づかないふりをしているのか、「股野さんがそう決めたのなら私は応援します」と笑顔で肯定する大和。だが、股野が本当に伝えたかったのは大和を好きだという気持ちだった。「僕は大和さんのことが好きです」と勇気を振り絞って伝える股野。USKの存続、そして大和たちの待遇が危ぶまれる中での告白は傍から見たら適当なタイミングではなかったかもしれない。それでも、橘が託したように大和を変えられるのは股野だけだったのだ。ここで伝えなければ二度と会えないかもしれないと語る股野に、大和は「どんな形になろうとこの道を続けていればいつかきっとまた会えるような気がします」と優しく返す。告白への明快な返事はもらえなかったが、いつか大和と股野が運命のような形で巡り合うような気がしてならない。