朝ドラ『ブギウギ』が描く“才能”とは何か 清水くるみ、藤間爽子ら新キャストたちの好演も
「自分の個性みたいなものはね。いつか必ず見つかるから。続けていれば」
大和(蒼井優)からもらった言葉を反芻していたスズ子(趣里)。彼女は「自分にとっての売りが何か?」を悩んでいた。芸能の世界で生きる以上、人とは違う何かを求められる。それはスズ子にとって厳しい現実となって立ち現れるのだった。
次回の公演で大和の演出が行われることになり、劇団内では役の争奪戦が始まっていた。その中でも関係をこじらせていたのは桜庭(片山友希)と秋山(伊原六花)だ。スズ子の後輩で花咲歌劇団から移籍してきた秋山は男役として桜庭とはライバル関係にあった。桜庭が居心地の悪さを感じていることを察知したスズ子は一緒に練習することを提案するが、「かまわんといてよ!」と突き放されてしまう。トップクラスの人気を誇る秋山と同じ役を争うことへ桜庭は焦りを滲ませていた。
桜庭を演じる片山友希は『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 ブギウギ Part1』の中で、「秋山のことを話すセリフは悪口に聞こえないように気を付けましたね。実力がある後輩に対してにじみ出る悔しさを表現しようと考えました」と語っていた。
一方で練習を担当していた専属ピアニストである股野(森永悠希)は元々オーケストラ志望だったが、生活のために歌劇団の仕事をしていた。スズ子は夢を追いかけることを勧めるのだが、股野が語った“才能”という言葉がスズ子の頭の中にじんわりと突き刺さっていた。そうこうしている内に何やら彼氏と別れた白川(清水くるみ)がスズ子のもとにやってくる。公式サイトのプロフィールにも「恋多き女性」と書かれているように白川は恋愛には人一倍敏感で、股野が大和に恋心を抱いていることにすぐ気がついていたようだ。股野に対する上目遣いや話し方を見ても、白川は男性にも好かれそうなタイプなのだと分かる。
翌日、練習を欠席した桜庭に対し心配するスズ子だったが、白川は全く気にしていない様子。至って冷静でいる白川にスズ子は“才能がある”ことが理由だと口にすると、白川は落ち込まないことが自分の“才能”だと語る。適材適所とは言ったものだが、自らの才能がどこにあるかを見極めている人間はどの時代も強い。白川はたとえどの時代、どの場所でも活躍しているのだろう。