宇野維正の興行ランキング一刀両断!
二宮和也主演『アナログ』初登場2位 ジャニーズ問題の影響はほとんどなし?
10月第2週の動員ランキングは、映画『ミステリと言う勿れ』が週末3日間で動員22万1000人、興収3億1100万円をあげて4週連続で1位となった。祝日となった10月9日(月)までの公開から25日間の累計成績は、動員255万1700人、興収34億4900万。『キングダム 運命の炎』(10月9日時点で興収54億9800万円)、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(最終興収約45億円)に続いて、今年公開された実写日本映画で早くもトップ3に食い込んでいる。
初登場で2位につけたのは、ビートたけし原作、二宮和也主演の『アナログ』。オープニング3日間の動員は17万6000人、興収は2億5200万円。祝日を含む4日間の動員は24万5000人、興収3億4400万円。2020年代に入ってからの二宮和也主演作品はこれが4作目。今回の『アナログ』のオープニング興収は、嵐の活動休止以前に公開された『浅田家!』(2020年)の90%、『TANG タング』(2020年)の96%、嵐の活独休止後に公開された『ラーゲリより愛を込めて』の67%という成績。もちろん、作品ごとの公開時期、話題性、評価、そして共演者の集客力なども考慮しなくてはいけないし、それらは最終興収の数字にも反映されるわけだが、熱心なファンが劇場に足を運んだことがそのまま数字として表れる初動成績で比べるなら、今回の『アナログ』は近作から特に見劣りするものではない。
多くの人が認識しているように、二宮和也は現役の旧ジャニーズ事務所所属のタレントとしては屈指の、既に高い評価を確立してきた俳優だ。したがって、旧ジャニーズ事務所所属の俳優活動をしている他のどのタレントにも同じことが当てはまるわけではないかもしれないが、少なくとも二宮和也の集客力は、今回のジャニーズ問題の悪影響をほとんど受けていないことが証明されたと言える。このまま事務所の体制が不安定な状況が続けば、今後の作品のキャスティングなどには影響が出てくることも考えられるが、この騒動の最中にも7月期には大ヒットドラマ『VIVANT』(TBS系)で助演ながら印象的なキャラクターを見事に演じていて、10月期の主演ドラマ『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』(フジテレビ系)の放送も始まったばかりだ。
特に映画の興行は、コンサートや舞台などのライブエンターテインメントの動員やCDのセールスと同じく、その対価を払う観客やファンによって支えられている。個人的なルートから得た情報によると、旧ジャニーズ事務所の各グループのファンクラブの人数は、この騒動を経てもほとんど減っていないという。そのことの是非をどう捉えるかは、これまでジャニーズの関わってきた作品とどのように接してきたかによるだろうし、ソーシャルメディア上ではファンダムの一部による過度な事務所擁護も目に入るのも事実だ。しかし、これまでも彼らの提供するエンターテインメントに対価を払ってきた「普通のファン」の大部分は、それ以外の人たちが想像しているよりもはるかに冷静なのかもしれない。
■公開情報
『アナログ』
全国公開中
出演:二宮和也、波瑠、桐谷健太、浜野謙太、藤原丈一郎(なにわ男子)、坂井真紀、筒井真理子、宮川大輔、佐津川愛美、鈴木浩介、板谷由夏、高橋惠子、リリー・フランキー
監督:タカハタ秀太
原作:ビートたけし『アナログ』(集英社文庫)
脚本:港岳彦
音楽:内澤崇仁
インスパイアソング:幾田りら「With」(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
製作:「アナログ」製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース、AOI Pro.
配給:東宝、アスミック・エース
©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.
公式サイト: analog-movie.com
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『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/