『大奥』松下奈緒×仲間由紀恵×安達祐実の迫力ある演技合戦 青沼と源内に不穏な影が迫る
家治の寵愛を受け、600石の小身からご老中への異例の大出世を果たした田沼意次。それが気に入らないのが、田安徳川家の定信(安達祐実)である。彼女は姉の家重(三浦透子)よりも妹の自分の方が9代将軍にふさわしいと主張した宗武(松風理咲)の娘であり、母から引き継いだ無念を燃料に政道批判を繰り返していた。
そこに拍車をかけるのが、白河藩への養子縁組だ。次期将軍の座を狙っていた定信の恨みの矛先は田沼へ向かい、漢方医たちのプライドを傷つけた青沼の蘭学講義の即刻中止を主張。さらには吉宗(冨永愛)が常に木綿の着物で質素倹約に努めたのに対し、華美な着物を身にまとった重商主義の田沼に恨み節をきかせる。
だが、正しく吉宗の意志を引き継いでいるのは田沼の方であり、定信はただ会ったことも見たこともない吉宗に間違った幻想を抱き、影響されているに過ぎない。そのことで源内が定信に強烈な正論を浴びせ、あわや刃傷沙汰に。額に青筋を浮かべながら、怒りをあらわにして源内に向かっていく定信。すかさず「あなた様の前途を台無しにする」と冷静ながらも強く止めに入る田沼。声のトーン、白と黒の羽織、身長差のコントラストに加え、松下と安達の名演がつくる緊迫感溢れる場面に思わず手に汗握る。
しかしながら、そんな二人の対立を裏で煽っていたのは一橋治済だった。定信を松平家へ養子に出すよう老中たちに進言する一方、定信には自分も田沼に不満があるかのような顔を装って近づく。その何を企んでいるか分からぬ恐ろしさが、見知らぬ男たちに源内が襲われるラストでさらに増した。予告からして苦しい展開が待ち受けているであろう第13話には心して臨みたい。
■放送情報
ドラマ10『大奥』Season2
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:
【医療編】
鈴木杏(平賀源内)、玉置玲央(黒木)、村雨辰剛(青沼)、岡本圭人(伊兵衛)、中村蒼(徳川家斉)、蓮佛美沙子(御台・茂姫)、安達祐実(松平定信)、松下奈緒(田沼意次)、仲間由紀恵(一橋治済)
【幕末編】
古川雄大(瀧山)、愛希れいか(徳川家定)、瀧内公美(阿部正弘)、岸井ゆきの(和宮)、志田彩良(徳川家茂)、福士蒼汰(天璋院・胤篤)
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
音楽:KOHTA YAMAMOTO
写真提供=NHK
©よしながふみ/白泉社