『大奥』原作でも人気の高い平賀源内&青沼が登場 コロナ禍の医療従事者と重なる姿

『大奥』平賀源内&青沼が持つ“不屈の精神”

 新型コロナウイルスの5類移行に伴って感染対策が緩和される一方、インフルエンザやRSウイルスなど、別の脅威が差し迫る今日。10月3日に幕を開けたNHKドラマ10『大奥』“医療編”の初回放送は、タイムリーにも感染予防の大切さを訴えかけるような内容となった。

 よしながふみの同名漫画を原作に、男子のみが感染する奇病「赤面疱瘡」によって男女の立場が逆転した江戸パラレルワールドを描く本シリーズ。2023年1月期に放送されたシーズン1は、8代将軍・吉宗(冨永愛)が『没日録』で最初の女将軍となった家光(堀田真由)の時代から、大奥の歴史を辿っていく構成となっていたが、シーズン2ではその役目を江戸幕府滅亡を前にした最後の大奥総取締・瀧山(古川雄大)と、江戸城無血開城の立役者となる天璋院(福士蒼汰)が担う。大奥と共に葬り去られるであろうその歴史を脳裏に刻みつけるように、神妙な面持ちでページをめくっていく2人。そこには、果たして刻まれているのだろうか。吉宗の悲願成就のため、赤面疱瘡の撲滅に挑んだ者たちの名前が。

 時は、明和6年(1769年)の長崎・出島。20年前に吉宗から赤面撲滅を託された田沼意次(松下奈緒)の内命で、本草学者の平賀源内(鈴木杏)は蘭学の習得者探しに奔走していた。武家の生まれでありながら、跡を継がずに遊学していた源内。そんな彼女が出会うのは、大通詞であり蘭方医・吉雄耕牛(飯田基祐)に師事する吾作(村雨辰剛)だ。耕牛の弟子の中で最も優秀な彼を源内は大奥へと誘い、赤面解明の糸口となるであろう蘭方医学の普及を任せる。

 大奥で“青沼”という名を与えられる吾作と源内は原作でも特に人気のあるキャラクター。その理由の一つになっているのが、辛い出来事を経ても諦めない不屈の精神だ。放送後、鈴木の見事なセリフの早回しが話題となっていたが、源内は口ぶりから何まで落ち着きがなく、バイタリティに満ちた女性。対して、青沼は一本筋の通った思慮深く実直な男性であり、一見正反対な2人だが、どちらも兄弟を赤面で亡くしているという点で共通している。また、おそらく同性愛者で男装している源内も、オランダ人と丸山遊女の間に生まれた青沼も、差別や偏見の目を向けられやすい立場にある。それでもなお人の役に立ち、「ありがとうと言われたい」と根源的な願いを口にできる2人の真の強さが、鈴木と村雨の好演により際立った。

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