『エクソシスト』第1作の正統続編が北米No.1 ただし権利獲得に4億ドルで“黒字化”なるか
映画史に名を残す、“伝説の恐怖”の再来。そのコストと成果やいかに――。
10月6日〜10月8日の北米映画週末ランキングは、かの傑作ホラー映画『エクソシスト』(1973年)の続編『エクソシスト 信じる者』がNo.1に輝いた。シリーズとしては5作目だが、本作はウィリアム・フリードキン監督による1作目の正統続編。新たな3部作の第1章とも宣言されている。
もっとも、本作の興行収入はまだ判断が難しい。北米では公開後3日間で2720万ドルを記録したが、事前の予測値は3000~3600万ドルだったため、配給を担当するユニバーサル・ピクチャーズの期待には届かなかったのだ。その一方、『死霊館のシスター 呪いの秘密』には及ばずとも、『SMILE スマイル』(2022年)や『ブラック・フォン』(2022年)の初動成績は上回っており、ホラージャンルとしては決して悪くない成績。全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキの影響を踏まえても、まずは上々の滑り出しと言えるだろう。
問題は『エクソシスト』の権利を獲得するために、ユニバーサルが4億ドルもの大金を支払ったという事実だ。今回の『エクソシスト 信じる者』自体は製作費3000万ドルとローコストだが、それ以前の投資をどう回収するか。この作品は新たな3部作だけでなく、配信やテーマパーク展開なども含めた一大ビジネスの第一歩だったのである。
その観点で見れば、本作の初動成績はがぜん厳しいものに見えてくる。海外市場では1780万ドルを稼ぎ出し、現時点での全世界興行収入は4506万ドル。製作費の回収は可能と思われるが、本作の場合、果たして「黒字化」の定義とは……。また、作品としての評価も高いとは言いがたく、Rotten Tomatoesでは批評家スコア22%・観客スコア59%。出口調査に基づくCinemaScoreも「C」評価となった。ホラージャンルの賛否両論はよくある話だが、2025年に続編が公開予定であることを鑑み、現地では「計画の再検討が必要ではないか」との指摘も少なくない。
監督・脚本は『ハロウィン』新3部作のデヴィッド・ゴードン・グリーン。『ハロウィン』(2018年)でジェイミー・リー・カーティス演じるローリー・ストロードを現代に復活させたように、今回は『エクソシスト』のクリス・マクニール役をオリジナル版のエレン・バースティンが50年ぶりに再演した。森での失踪以来、奇妙な行動を繰り返すようになった娘と親友を救うため、シングルファーザーのヴィクターがマクニールに助けを求めるのだ。
本作は当初10月13日の北米公開予定だったが、『テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR』との激突を避けるため、ユニバーサルが8月末に公開日を急遽10月6日に変更。公開まで2カ月を切ったタイミングでの繰り上げは決して容易いものではなかったはずだが、その成果はあったと考えるべきかどうか。日本公開は12月1日だ。
ランキングの第2位以下は、前週の大混戦がそのままスライドしたような順位となった。第2位は『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』で、週末興収は1175万ドル(前週比-48.4%)。海外市場でも好調で、世界興収は8706万ドルと、すでに1億ドル突破が目の前に見えてきている。