『らんまん』万太郎が理学博士になるのは“傲慢”か“時代”か 寿恵子との別れが近づく気配も

『らんまん』万太郎の今を作り上げたもの

 『らんまん』(NHK総合)第128話で、万太郎(神木隆之介)は波多野(前原滉)から、徳永(田中哲司)と波多野の推薦で理学博士になることができると告げられる。けれど万太郎は、植物図鑑が完成していないことを理由に、その申し出を断った。

 万太郎が波多野の申し出を断った背景には、大学に不義理を重ねたことへの引け目や、日本の植物学を築いた伊藤圭介と田邊教授(要潤)こそが「理学博士」にふさわしいといった考えがあるようだ。だが、そんな万太郎に波多野は「傲慢だよ」と口にする。

(左から時計回りに)槙野万太郎役・神木隆之介、波多野泰久役・前原滉、藤丸次郎役・前原瑞樹

「槙野万太郎は、自分の意志でここまで来たと思ってるんでしょ?」
「槙野万太郎がここにいるのは時代なのか、摂理なのか……そういうものに呼ばれてここにいるんだ」

 波多野は、野宮(亀田佳明)とともにイチョウの精虫を発見した時、なぜ自分たちがその役目を担うことになったのか分からなかったが引き受けることにした、と言葉に熱を込める。万太郎の姿勢を「傲慢」と表した波多野だが、決して憤りや苛立ちからその言葉を発したわけではない。波多野は踏ん切りがつかない万太郎に真正面から向き合い、学問に貢献する自身の覚悟を伝えることで万太郎の背中を押す。

 もちろん波多野と藤丸(前原瑞樹)の言葉だけが万太郎の背中を押すのではない。寿恵子(浜辺美波)の「先に理学博士になったら(植物図鑑が)売れるじゃないですか!」という言葉には可笑しみが感じられるが、寿恵子が万太郎に「この国の植物学にあなたの名前が刻まれるでしょ? あなたの名前が、永遠に」と訴えかけた時、そのやわらかくも強いまなざしが万太郎を勇気づけた。

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