『らんまん』には名台詞がいっぱい! 心に刻みたい神木隆之介、浜辺美波、志尊淳らの言葉

『らんまん』名台詞とともに振り返る

 NHK連続テレビ小説『らんまん』が9月29日に最終回を迎える。槙野万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の冒険の物語は、「バイカオウレン」(花言葉は「情熱」)で始まり、「スエコザサ」(同「ささやかな幸せ」)で終わることになる。

 『らんまん』には心に残る言葉がたくさん登場した。植物と自由を愛した万太郎、冒険を愛した寿恵子、女性として道なき道を歩んだ綾(佐久間由衣)、万太郎と綾を支え続けた竹雄(志尊淳)らの言葉を振り返ってみたい。

坂本龍馬(ディーン・フジオカ)「生まれてこんほうがよかった人らあ、ひとりもおらんぜよ。いらん命らあひとつもない。この世に同じ命はひとつもない。みんな、自分の務めを持って生まれてくるがじゃき」(第3話)

 体が弱く、「生まれてこんほうがよかった」とまで思い詰めていた幼い万太郎が、初めて出会ったメンターは幕末の英雄だった。龍馬の言葉は「雑草という草はない」という万太郎の植物観、人生観に通じている。

池田蘭光(寺脇康文)「身分が消えたとき、何が残ると思う? 己じゃ。自分が何者か、人はそれを探していく。学びはその助けになる。世の中は変わり続けるけんど、だが、いたずらに振り回されてはいかん。道を選ぶがは、いつも己じゃ」(第10話)

 幼い頃の万太郎が出会ったもうひとりのメンターが学問所「名教館」の学頭、池田蘭光。蘭光先生は、興味を持ったことを好きなように学ぶことと、立場や所属などに委ねることなく、自分自身を持つことの大切さを伝えてくれた。

万太郎「人が作り出したもんもすごいけんど、わしはおまんら草木のほうがずっとすごいと思う! この世にひとっつとして同じもんがない。何か理由があって、こうして生まれてきたがじゃろ。なら、わしは、わしでいいかのう……」(第13話)

 造り酒屋の次期当主なのに下戸の万太郎は、泥酔した挙げ句、自分をカエル(ゲコゲコ鳴くから)に例えて卑下しながら、大好きな植物に向かってこう語りかける。誰にだって生きている理由があるはず。だけど、その確かな手応えがまだ掴めていなかった頃の言葉。このとき、生涯の伴侶と出会うのだから、たまには酔っ払うのも悪くないかも。

早川逸馬(宮野真守)「我らはみな、金銀よりいっそう尊い、自由という権利を持っちゅう! この自由という権利は、命よりも重い! 自由がなければ、人は生きちょっても仕方がない!」(第18話)

 若き万太郎に影響を与えた一人、自由民権運動の壮士、早川逸馬。何をするにも家や性別に縛られることが圧倒的に多かった時代に、自由であることの大切さを説く早川の熱い言葉は、万太郎と共鳴し、綾の胸を打った。その後、万太郎は男なのに家を飛び出して学問を追求し、綾は女なのに造り酒屋を継ぐことを決意する。

竹雄「ほんじゃき、お二人は、前だけ向いちょってください。後ろはわしがおりますき」(第21話)

 万太郎と綾が自分の心のままに進むべき道を選ぶ過程は、話数をかけてじっくり描かれた。それだけ当時としては型破りの選択だったということ。万太郎、綾、そして二人を支える竹雄が手を重ねて誓い合う場面は、その後、何度も繰り返し流された。

綾「この世に男と女がおって、どういて女ばっかりがそう言われてんといかんがじゃろうと。この先、未来永劫、女は穢れちゅうと言われ続けるがか! 立ち入ったらいかんと言われるがか!」(第24話)

 かつて酒蔵に女性が入ると酒が腐るとされていた。造り酒屋を継ぐと決意した綾は、分家の男たちから罵声を浴びせられるが、涙ながらに自分の決意と因習に関する疑問をぶつけていく。なお、後に分家の人々が置かれた辛い立場も描かれており、俯瞰的な視点を持つ『らんまん』らしさが表れていた。

万太郎「雑草いう草はないき。必ず名がある。天から与えられ、持って生まれた唯一無二の名があるはずじゃ。その名をまだ、見つかってない草花なら、わしが名付ける! 草花に値打ちがないらあ、人が決めつけな」(第29話)

 十徳長屋で出会った倉木(大東駿介)は盗みに手を染めるほど身を持ち崩していたが、万太郎の言葉に心動かされる。どんな植物にも、どんな人間にも、生きる値打ち理由がある。それを他人が決めることはできない。「雑草という名の草はない」という言葉は、万太郎のモデルとなった植物学者、牧野富太郎の言葉として知られている。

寿恵子「私、草むらになりたい。草むらになって二人を見てたい。ううん、草むらじゃ置いてかれる。いっそ八犬士になりたい!」(第34話)

 「南総里見八犬伝」を愛読する寿恵子が思わず漏らした心の叫び。草むらになって推しを見ていたいという気持ちが視聴者の共感を集めたが、「いっそ八犬士になりたい!」のほうがポイントだった。本当に寿恵子は八犬士のような冒険だらけの人生を送ることになる。

江口りん(安藤玉恵)「あ、こりゃ悪い人じゃない。変わった人だって、わかって良かったよ」(第37話)

 長屋の差配人であるりんは、東京大学で「よそ者」と拒絶されて落ち込む万太郎に「よそから来る人間は、怖いよ」「分からないものは、気味悪いよ」と客観的な視点を示しつつ、万太郎のような「変わった人」を肯定して受け入れている。十徳長屋の懐の深さが気持ちいい。後に描かれた関東大震災時の自警団の振る舞いとは真逆である。なお、このときりんは「竹ちゃん、身体の半分が脚だね」という名言も残している。

竹雄「ちゃんと寝て、食べて、ピカピカ笑うちょってください。それが、若の全速力ですき」(第48話)

 (この時点では)誰よりも万太郎のことを知り抜いている竹雄の言葉。万太郎の武器は情熱と探究心、そして天真爛漫な笑顔なのだ。「健やかに、楽しゅう笑いゆうほうが、よっぽど早う遠くまで行ける」というのは、実は多くの人にあてはまることなのかもしれない。

西村まつ(牧瀬里穂)「男の人のためにあんたがいるんじゃないの。あんたはあんた自身のためにここにいるの。だからいつだって、自分の機嫌は自分で取ること」(第49話)

 寿恵子の母・まつが娘に語りかけた言葉。「自分の機嫌は自分で取る」とは、男を待つばかり、自分の人生を男に委ねてばかりではなく、女だろうと自分の幸せは自分で見つけよう、ということ。それがどんな小さな幸せでもいい。主体的に得た幸せは人生を豊かにしてくれる。

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