『ノキドア』ついに明かされた6年前の事件の真相 松村北斗と西畑大吾の“表情”に魅了される

『ノキドア』明かされた6年前の事件の真相

「信頼できる誰かが突拍子もない行動を取った時、そこにはきっと誰かへの優しさがある」

 『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系)最終話で、ついに明かされた6年前の密室殺人未遂事件の真相。禁断の扉の先にあったのは、冒頭に書いた天川考四郎(渡部篤郎)の言葉どおりの結末だった。

※以下、『ノッキンオン・ロックドドア』最終話のネタバレを含みます

 6年前、御殿場倒理(松村北斗)が鍵のかかった自宅アパート内で、何者かに首元を切られて負傷した事件。これまでの話から、犯人は天川ゼミの同期のなかにいるところまでは絞られていたが、そこからの推理がいまいち進んでいなかった。

 ただ、倒理が意識を失う前に書き残した名前には、“ミカゲ”とあったと明かされている。それなら、単純かもしれないが、糸切美影(早乙女太一)が犯人だと考えたらおさまりがいいだろう。美影は、犯罪コンサルタントをしていて、どこかサイコパス的な空気感をまとっているし、氷雨(西畑大吾)や穿地決(石橋静河)が犯人だった時に比べたら、まだショックが少なくてすむ。

 しかし、犯人はいちばん衝撃が大きい人物だった。

 もちろん、「もしかして?」と思った部分はあった。倒理に殺されたがっているとか、あの事件の話になると、ぎゅっと口をつむぐところとか。振り返ると、氷雨はたしかに怪しかった。でも、どこかで「そんなわけない」と見て見ぬふりをしていた自分がいる。

 本作は、言葉や態度には表れない、人間の複雑な感情を詰め込んだ作品だった。まず、6年前に倒理を刺してしまった氷雨。当時、「連続ボウガン事件」の犯人を見つけ出した倒理は、被害者にその事実を伝えようとしていた。しかし、最愛の犬を殺された被害者は、「犯人が見つかったら、殺してやりたい」と訴えている。しかも、その犯人は並大抵の力では太刀打ちのできない相手だ。倒理以外はみな、「これ以上は関わらない方がいい」と思っていた。

 しかし、倒理は3人に隠れて被害者に犯人を伝え、加害者と対峙しようとしていた。明らかに、倒理の身に危険が及ぶことは分かっている。力づくでおさえつけようとしたが、倒理を止めることができなかった氷雨は、手に持っていたナイフで彼の首を切りつけてしまった。

「犯罪者にしたくなかった。自分が犯罪者になっても」

 氷雨が倒理に向ける感情は、あまりにも重すぎる。それなのに、ふだんは平然とタッグを組んで謎解きをしていたのだから、すごい。演じた西畑大吾は、視聴者を騙す……というより、自分(=氷雨)を騙す演技をしてきたのだと思う。意識的にでも当時の出来事を忘れようとしなければ、倒理とふつうに接することなんてできないはずだ。だからこそ、トリガーを引いてしまった時の緊迫した表情に、胸が締め付けられた。

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