『ばらかもん』杉野遥亮が自分の道を見つめ始める 清舟を変化させた五島の人々の優しさ
「自分の意思で、自分の生活をしていきたい」
清舟(杉野遥亮)は父にそう宣言した。最初の頃は「自分の字に自信がない」とか、「自分より若い奴が賞を取った」など“他人の評価”で一喜一憂していた清舟。“他人の評価”を気にするということは、自分の横や後ろを気にするということだ。だが彼はやっと、自分の目の前にある道を見つめ始めた。そんな『ばらかもん』(フジテレビ系)もついに最終話を迎える。
清舟を変えたのは主に、なる(宮崎莉里沙)をはじめとする五島の人々。東京という大都会から突然やってきて、性格もわがままなところがある清舟に彼らはとにかく尽くしてくれた。「書道教室を始める!」と息巻く清舟に美和(豊嶋花)の父親である山村(宍戸開)は看板になりそうな板をくれ、郷長の木戸(飯尾和樹)は公民館から机を借りてきてくれた。相変わらず、清舟には甘いというか、優しい人たちである。五島に来て間もない頃は、頑なに人に頼ろうとしなかった清舟だが、今では彼らを頼れる人たちとして信頼している。
そんな五島の人に自分ができる形で恩返しがしたいと考えていた清舟は着々と書道教室を開く準備をしていたが、ここでも”都会のお坊ちゃん“だった清舟の世間知らずが大爆発する。書道家のような自分の技能を売りにするような職業であれば、納得のいく作品を仕上げれば値段は川藤(中尾明慶)のような仕事を仲介してくれる人が値段をつけてくれることだろう。だが、自分で教室を運営するとなると話は別だ。どの年代をターゲットにするか、教室は週何回やるか、何人くらいが来てくれそうか。そこから自分の生活を勘案すると、月謝はこれくらい……。はっきりと言おう。清舟にそんなことが考えられるはずもない。そう思っていたらやっぱり月謝1万円というびっくりなお値段を設定してきたから笑ってしまった。自分で決めた道を歩くと決め、成長はしたものの、清舟には、まだまだ人間として知らなくてはならないことがたくさんあるようだ。その欠点とも言える部分も憎めず、かわいらしいと思えてしまうのが清舟のすごいところだ。
さらに五島は人の繋がりが密接で、書道の技術だけを教えて、はい終わり、なんてことは難しい。生徒の問題や人生に、清舟が身近な”先生“として否が応でも関わらなくてはならないこともあるだろう。事実、浩志(綱啓永)は料亭の採用試験に落ちてしまい自暴自棄になっており、美和は実家の酒屋が閉店することに動揺し、漫画家志望の珠子(近藤華)は自分の作品を出版社に投稿する勇気が持てず、人知れず悩んでいた。だが、育江(田中みな実)が「先生って意外と教育者に向いてるのかも」と言うように、清舟は教科書通りに何かを教えるというよりは、自身の姿を持ってして周りを感化させていくことができる。家族とは違う、話せる大人がいることは、五島の子供たちにとってもプラスになることだろう。
たくさんの人に助けられて、清舟の書道教室はなんとかスタート。最終回は教室を始めてから1年後が描かれる。しかし、次回予告に映し出されたのは、悲しそうななると、船に乗り五島を去るような様子を見せている清舟の姿だ。前回がほっこりする形で終わっただけに、清舟やなるに何があったのかとモヤモヤが残ってしまう。まだもう一波乱が起きそうな最終回は、絶対に見逃すことができない。なるがあの太陽のような笑顔で笑ってくれますようにと願っている。
■放送情報
『ばらかもん』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:杉野遥亮、宮崎莉里沙、田中みな実、綱啓永、豊嶋花、近藤華、山口香緖里、飯尾和樹、田中泯、荒木飛羽、中尾明慶、遠藤憲一
原作:ヨシノサツキ『ばらかもん』(ガンガンコミックスONLINE/スクウェア・エニックス刊)
脚本:阿相クミコ、金沢達也
主題歌:Perfume「Moon」(Polydor Records)
企画:上原寿一
プロデュース:髙丸雅隆、高橋眞智子
演出:河野圭太、植田泰史、木下高男、北坊信一
制作協力:共同テレビジョン
制作著作:フジテレビジョン
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