『ばらかもん』初めて自発的に決断した“先生”の清舟 大きな変化はどんな波紋を起こす?
「俺、書道家辞めます。俺は俺の道を決めました。ちゃんとあいつらの先生になります」
初めてのなる(宮崎莉里沙)の東京デビューとともに清舟(杉野遥亮)の決意が描かれた『ばらかもん』(フジテレビ系)第9話。父・清明(遠藤憲一)の手伝いをすべく、東京に呼び戻された清舟に同行することになったなる。なるが清舟からもらったばかりの誕生日プレゼント「なんでもいうこときくけん」の出番は思いのほか早くにやってきた。
清明からは、東京に戻ってきて自分の側でプロの書道家として勉強するように言われ、ある意味許しを得た清明。しかし父親のプロとしての仕事ぶりや一切妥協しない徹底したこだわりを目の当たりにすればするほどに、本当に自分には書道家という道が合っているのかわからなくなる。誰に何と言われようと譲れぬ想いや自分で自分の直感を信じられる揺るがない強さが清明にはあるが、周囲との摩擦を避けてきた清舟にはそれがまるでない。
なるはなるで、今度こそいよいよ清舟が五島には帰って来ないのではないかと寂しい想いを必死に隠そうとしながら気丈に振る舞う姿がいじらしい。
書道家の佐久間(佐々木一平)は赤の他人であるなると清舟の絆に触れて、「半田さんって一人でいる時は半田さんなのに、子どもといる時は確かに“半田先生”って呼びたくなりますね」と興味深いコメントをした。確かに、自分自身との対話が苦手な清舟も、奇想天外ななるたち子どもらの素直な目線に立ってみることで気付かされることが多々あるのかもしれない。また“お手本通り”ばかりを目指して自我をあまり出さずに過ごしてきた自身の幼少期を、なるを通して追体験し、取り戻しているところもあるのかもしれない。
“お手本”に近づくことを第一目標にしてきた清舟は何を見てもついつい“正解”や評価軸を探してしまう。ただただ正直な自分の感想を持ち、それを自身の言葉として発するのが苦手な節があるが、子どもらを前にすると嘘偽りない自分で応えたいという想いが自然と湧いてくるのだろう。“先生”とあまりに自然に呼ばれることで、それに相応しい自分でいたいと思わされるのかもしれない。
自分のことなら何となくやり過ごせることでも、それがなるたち大切な存在に関わることとなれば熱くなる自分に清舟は気づいたのだろう。それに、清舟がなるたち子どもらにかけてきた言葉というのは、本当は自分が幼い頃、誰かにかけてもらいたかった言葉たちなのかもしれない。