目黒蓮が『トリリオンゲーム』で広げた演技の幅 これまでと違ったハル役で証明した実力

目黒蓮『トリリオンゲーム』で広げた演技の幅

 『トリリオンゲーム』(TBS系)は最終回を目前にして、トリリオンゲーム社とドラゴンバンク社との攻防が激しさを増している。特にこれまで数々の会社を“食う側”だったドラゴンバンク社は、トリリオンゲーム社の内部システムに侵入するためにスパイを送り込むなど、トリリオンゲーム社を潰すためになりふり構わない様子を見せ、ハル(目黒蓮)たちは大ピンチに陥っている。

 本作の見どころは、口がうまく、時にはハッタリでアイディアを実現させようとするハルと、技術力を武器に突飛なアイデアにも中身がともなうようにしているガク(佐野勇斗)、“両輪”であるふたりがギリギリな危ない道を渡りきり、莫大な利益をあげていくところ。もはや凛々(福本莉子)がAIになりすまし、オンラインで花束の提案をしていた頃が懐かしいが、その時の売上は月300万だった。いまや、トリリオンゲーム社はゲーム事業やメディア事業などを抱え、その価値は黒龍(國村隼)が「全ての株を700億で買う」と言うほど。一般的なサラリーマンの生涯年収が2、3億程度というのを考えると、もう十分すぎるほど稼いでいることになる。トリリオンゲーム社はあっという間にここまで大きくなったのだ。

 特にハルの、「こういう事業をしたい、その次はこれだ!」という斜め上から降ってくる事業アイデアには驚かされ、ハラハラもした。堅実派のガクと同じく「それって不可能なんじゃ……?」と思った視聴者もたくさんいただろうが、ハルにニカッと笑われながら「できる!」と言われるとできるような気がしてしまうから不思議である。

 ハルを演じる目黒蓮がこれまで演じてきた役に、ハルのような「快活さ」を感じさせるものはほとんどなかった。福本莉子とクラスメイト役で共演した『消えた初恋』(テレビ朝日系)では、ひょんなことから同じクラスの男子生徒・青木(道枝駿佑)に告白され、付き合う井田を演じた。井田は青木に対して好意はあるのだが、無口でいつも物静かなため、告白した青木をことあるごとに「井田は俺と無理して付き合ってるのでは……」と疑心暗鬼に陥らせていた。本作で桐姫ことキリカとして共演している今田美桜が結婚相手の美世を演じた映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)では、目黒は軍人でクールな性格の久堂清霞を演じた。ここでも清霞は表情が読めなさすぎて美世を「この方は仕方なく結婚したのだ」という気持ちにさせている。出世作となった『silent』(フジテレビ系)で目黒が演じた想も、中途難聴者になる前の学生時代からはっちゃけるような性格ではなかった。むしろ冷めているようにも捉えられるこれらの人物の性格が目黒の優しい面持ちがマッチしてより魅力的になっているのだ。

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